開明獣

あいつの声の開明獣のレビュー・感想・評価

あいつの声(2007年製作の映画)
5.0
名優ソル・ギョングが出ているから。それだけの理由で見始めたのだが、夢中で観終わってしまった。普通、家で配信で観てると、途中トイレ行ったり、飲み物お代わりしたり、ストレッチしたり、集中力が途切れがちなものだけど、これは最後まで異様な緊張感を強いられて観続けてしまった。

あまりフィルマでの平均スコアが高くないのは、観賞後の印象がスッキリしないから、に尽きると思う。開明獣、胸糞という言葉はあまり好ましくないと思っているので、滅多に使わないし、ここでも使いたくないが、これを観た多くの方は、この言葉を思い浮かべるのではないだろうか。それが高評価をつけるバイアスになっている気がするが、映画としてきちんと成り立っていて、骨太ながっしりした良い作品だと思う。映画の在り方として、認めたいタイプの作品。

9歳の1人息子を誘拐された国民的人気キャスターと、その妻、犯人、捜査を担当する刑事を、実話を基にしたドキュフィクション的な手法で描いている。これを観るとソル・ギョングの演技は若い頃から凄いことがよく分かる。妻役の、キム・ナムジュのどんどん憔悴していく様も名演。注視しているのが辛いくらい。

エンディングには背筋が凍りついた。闇の中で突然、転ばされたような感覚。一切の事前情報なしで観ることをお薦めします。
開明獣

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