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毒のmiumiuのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.2
Netflixオリジナル。
ウェス・アンダーソン監督が手掛けるロアルド・ダール原作の短編4部作の一つ。

配信スタート当時に見逃したのでオスカー授賞式前にイッキ見。
今作が一番、展開的にも分かりやすくて面白かった… というか声出して笑っちゃった。


ベッドに毒蛇が忍び込み動けなくなった男と、それを救おうとする者たちの奮闘を描く短編。
ベネディクト・カンバーバッチ、デヴ・パテル、ベン・キングズレーのほぼ3人芝居。
動いたり大きい声を出したりすると毒蛇に咬まれるかもしれない限界状況を描きつつ、絵的演出的にはカラフルでポップで独特なウェス・アンダーソン調。物語と演出の相乗効果がコントっぽさを増していて、めちゃくちゃ笑った。
カメラ目線でセリフやナレーションを同時進行で言う演出は他の作品同様、今作でも健在なんだけど、「カメラの位置そこなの!?」というのにもツッコミ入れてめちゃくちゃ笑ってしまった。
終盤までは目線を動かすのと囁くくらいしか出来ないベネディクト・カンバーバッチの演技(と設定)も笑える。


短編だから多くは語られずに進むけれど、ベネディクト・カンバーバッチ演じるハリーがそこそこ上流〜中流の男性、デヴ・パテルは同居人と言うよりは付き人や召使い的な立場、ベン・キングズレーが異国出身の医師役なのかな。
ハラハラしつつ笑って観ていたのに、助けられる立場だったハリーが最後に放つ差別的な一言でサッと場が冷えて考えさせられる、皮肉の利いたブラックコメディだった。

芸術的な完成度の高さとベネディクト・カンバーバッチの演技を堪能するなら『ヘンリー・シュガー〜』だけど、観やすさという点では今作の方が人に薦めやすいかな。
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