MASH

続・猿の惑星のMASHのレビュー・感想・評価

続・猿の惑星(1970年製作の映画)
2.5
シリーズ2作目。SF映画の金字塔である『猿の惑星』。続編である本作は1作目の衝撃のラストの直後からスタートする。確かにチャールトン・ヘストン演じるテイラーのその後は気になるが、あの絶望エンドで終わったからこそ『猿の惑星』は語り継がれる名作となったわけで。つまり何が言いたいかというと、この映画は完全な蛇足ということ。

原題の『BENEATH OF THE PLANET OF THE APES』の通り、地下に隠された猿の惑星の更なる秘密を描く本作。製作する上で結構ゴタゴタしたようで、開始すぐに前作の主人公テイラーは退場。新たに猿の惑星に不時着したブレントが主人公に。この時点で雲行きは怪しいが、前半がとにかくダルい。1作目と大体同じことを上映時間の半分近く使いやるので、焼き直し、というか劣化版を見せられている気分。ブレントのキャラもテイラーを極限まで薄めた感じでなんの特徴もない。

そして後半の怒涛の展開にはついていけず。ネタバレになるので詳しく書かないが、ぼーっと見てたらいきなり色んな後付け設定が盛り付けられ、「猿の惑星の映画だよね?」と疑いたくなってくる。主人公たちも戸惑いを隠せていない様子。世界観を拡げようとしているのは良いが、何もかもが唐突で前作まで、もっと言えばこの映画の前半と全くマッチしていない。

しかし、観るべき点もある。ベトナム戦争に影響を受けたと言われる本作では、それ以外にもチンパンジー、オラウータン、ゴリラの立場や考え方の違いという、人間でいうところの宗教や人種間の亀裂を描こうとしている。人間と同じ過ちを犯さないために独自の文化を築いた猿たちが、人間たちと同じような過ちを犯していく様子は皮肉なもの。

また、ラストについていけないとは言ったが、設定は割と面白い。当時アメリカに漂っていたであろう、平和のためというそれらしい大義を掲げた戦争への嫌悪。そして核への恐怖。持っていき方が下手なだけで、描こうとしていることは割としっかりしている。パッと見かなりチープなSFだが、70年代のアメリカを色濃く反映した展開となっている。

とは言え、やはり蛇足ではあると思うし、純粋に映画としてとにかくダラダラしている。前作も割とスローペースなとこはあったが、会話の一つ一つが非常に興味深いものであった。しかし、本作はキレが全くないダラダラアクションを随所に挟んでくるので、チープな側面が強く出てしまっている。特撮なんかは時代を考慮しても酷いものだ。

ある種カルト的な人気も出そうな感じもするが、そうなってないということはやはり魅力に欠けるということだろう。にしても、完全にここで終わらせる気満々のエンディングなのに、どうやってここから3作も作ったのか。期待はできないが、気にはなるので続きも観てみようと思う。
MASH

MASH