こたつむり

ブレーキ・ダウンのこたつむりのレビュー・感想・評価

ブレーキ・ダウン(1997年製作の映画)
3.9
♪ その時声がした 雲は晴れた
  目の前が見えた 敵が現れた
  鳥になったんだ あの頃みたいに
  狙いさだめて 引き金引いたんだ

寡聞にして本作のことを知りませんでした…が。いやいやいやいや、これはかなり損をしてました。確実に“隠れた良作”。それこそTSUTAYA発掘良品に紛れ込んでもおかしくないレベルだと思います(と書くと褒め言葉にならない気もしますが…)。

ジャンルはサスペンス。
というか、ホラー?アクション?
何はともあれ、色々な部分を貪欲に集めた感じ。思わず手に汗握る展開や、親指を立てたくなる場面はヘタなヒーロー映画真っ青。とても贅沢な作りです。

それでいて尺は90分ちょっと。
いやぁ。これですよ。娯楽はこうでなくっちゃ。シュッと始まって、ピッと終わるのが理想。接写を増やして重厚な音楽を流して大御所っぽく振る舞うのは避けてほしいのです(と何かを批判しているわけではありません。念のため)。

何よりも配役の知名度に頼っていないのが素敵。
アクションにもお金をかけていますが、脚本だって疎かにしていないんですよ。だから、ギリギリまで攻め込んだ演出に思わず前のめりなんです。いやぁ。面白かった。

だから、本作の知名度が低いのは不思議。
…なんですが。
思うに、悪役に対する“説得力”が低いのが原因だと推察しました。

何故、その悪事に手を染めるのか、とか。
何故、バレずに繰り返せるのか、とか。
あまり、迫力がないように見えちゃうぞ、とか。
考えれば考えるほど疑問が山のように湧くのです。

でも、それが逆に良いんですよ。
何でもかんでもハッキリしたら面白くないんです。お化け屋敷が怖いのは暗いから。真昼間にお化けを見ても背筋は寒くなりませんよね。ぎゃあ。

まあ、そんなわけで。
主役がカート・ラッセルということで「もしかしたら裏があるのかも…?」なんて思いますが、その辺りは複雑に捉えない方が吉。期待値を高めなければ十分に楽しめると思います。
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