今晩、試写会にて鑑賞
京都を舞台にして制作されたインディ作品

男性が営むカフェにバイトで現れた彼女、その彼女を遠くから見つめるホームレスの男性、三人が交錯する中で明らかになる真実とは...

家族の想いと絆に心ほっこり温かく、笑えて泣ける、とても良い作品でした

名優ベテランの近藤芳正さんと村田雄浩さん、流石ですネ、素晴らしかった
東茉凜ちゃんもとても良かったです、可愛かったです

舞台挨拶で村田さんから口コミ宣伝を熱くお願いされました
よろしかったら皆さん映画館へ足をお運び下さい、よろしくお願い致します！

• #2025年AKIROCK映画館鑑賞

【近藤芳正·村田雄浩·東茉凜·浅井琢也(店主)·柳裕章監督舞台挨拶付上映】

京都五条駅近くに実際にある、そのうちカフェを舞台に、事実無根の罪と事実義理の父が織りなす人間模様。
「五条高倉下ル、六条院公園ブランコ入ル」
公園の中にある、このカフェの雰囲気が、この映画を愛すべきものにしています。

カフェ店主を演じる近藤さん。
2020年から京都に移り住んでいています。
京都テレビで毎週放送されている「おやじ京都呑み」では、京都大好き角野卓造さんと2人でうまい酒と肴を求め、京都を呑み歩いています。
近藤さんが、暴走気味の酔っ払い角野さんの手綱を、比較的冷静に締めている印象があります。

この映画でも、ベテラン近藤さんと村田さんによる、はんなりとした掛け合いが秀逸抜群。
ハッチャケ気味の村田さんを、近藤さんが押さえているように感じます。

映画は父と娘の物語になっていくわけですが、
・事実よりも大切なものがある
・過去よりも未来、未来よりも今この時が大事
・人生は無病息災が一番
など学ぶところも多いです。

ただ、近藤さんが元映画助監督という役なので、映画にまつわるオマージュでも入れてくれたら、より良かったように感じます。
僕が気付いてないだけでしたら、スミマセン。
まあ、少なくとも、愛すべきベテラン俳優の演技を堪能することはできます。

[舞台挨拶コメント]
<近藤・村田>
二人の共演は、玉置浩二さんが主演し主題歌「田園」も歌っている、ドラマ「コーチ」から始まっています。
その後もNHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」などありますが、ガッツリ共演するのは初めてです。

<近藤>
監督はなかなかカットと言わない長回しタイプ。
村田さんと二人でピザを食べるシーンでも、たくさん食べ過ぎた。
撮影後二人で飲みに行く約束をしていたけど、お腹も膨らんでしまってご遠慮した。

<近藤>
ビデオを見ながら村田さんが泣くシーンで、僕も一緒に泣いたのはアドリブです。
思わずもらい泣きしてしまった。

<東>
(劇中に保育園児の時の連絡帳が出てきた)
これが、映画で使用した連絡帳です。
美術さんが丁寧に作られました。
表紙には、名前も一字一字縫いこまれています。

　『事実無根』という4文字熟語の何やら重苦しいタイトルながら、映画は重力から登場人物たちが徐々に鎧を脱ぎ、次々に解放されて行く姿を描いた見事な家族讃歌だった。物語は根も葉もないことを言えば『そして、バトンは渡された』であって、それ以上でも以下でもないのが先行者利益の業界において最大の欠点ながら、久々に役者の芝居で観られる安心した映画だった。子どもたちや常連客でにぎわう京都・下京区の喫茶店「そのうちcafe」で、「大林沙耶」（東茉凜）と名乗る若い女性が履歴書を持って求人の面接に現れた。不器用ながらもひたむきに働く沙耶の姿は、店主・星孝史（近藤芳正）や常連客の間で注目の的となっていった。そんな沙耶の姿を遠くから盗み見る男がいた。事情を聞くと、セクハラのでっち上げにより大学教授からホームレスにまで成り下がったこの男は、沙耶の元義理の父親（村田雄浩）だという。京都の下町の子ども食堂ならぬ町カフェに、大林沙耶という名の女性が加入したことで物語は静かに動き始める。近藤芳正は外から中の気配を伺うホームレスである村田雄浩の目に気付いてしまう。そこから先はただただこの男の企みを制するように次から次にマスターは釘を差すのだが、斜め上行く展開には開いた口が塞がらない。

　TV業界で活躍した柳裕章監督の長編映画処女作は、大ベテランである近藤芳正と村田雄浩の見事なアドリブ合戦に魅了される。当初はカット割りの構図さえも明確に決まっていたシークエンスでも2人の演劇人の芝居合戦は当然切れるはずもなく、必然的に長回しに雪崩れ込んで行く様は痛快でしかない。絵作りから脚本上の台詞から何もかもが一字一句違えずギッチギチで、寸分の狂いもないような巨匠の作品と比すれば、ある種経験値を頼ってキャスティングした近藤芳正と村田雄浩両名の芝居の巧さに絆され、映画という球体は思いもよらない方向に舵を切って行く。当初は演技未経験のヒロイン東茉凜さんの声の小ささに落胆に近い感慨を覚えたものの、真のメンターたる近藤芳正と村田雄浩両名の芝居に開眼した東茉凜さんの声のボリュームが少しずつ上がって行く様には心底痺れた。映画そのものはコミカルな家族ゲームなのだが、演技未経験のヒロインの突然の暴走により、生の芝居は長回しでしか据えられないような祝祭空間を醸し出す。図らずもジョン・カサヴェテスの映画を観た後の様な読後感を醸す映画は、ひたすら役者冥利に尽きる芝居合戦の贅沢さをカメラの前で捉える。2人の父を前に真っ向勝負を挑むような東茉凜さんの向こう見ずな演技と全てを覆すようなクライマックスに痺れた。