なお

ゴーストバスターズ/フローズン・サマーのなおのレビュー・感想・評価

3.2
2022年公開『ゴーストバスターズ/アフターライフ』の正式続編。
前作『アフターライフ』の衝撃度はそれはもう★5を付けてしまったくらいで、劇場で人目もはばからず滂沱の涙を流したものである。

前作にてかつての宿敵・邪神ゴーザを葬った新生ゴーストバスターズ。
街になおも出没するゴーストたちの捕獲依頼をこなしながらではあるが、平穏な暮らしを取り戻しつつあるバスターズたちを脅かす、新たな怪事件が発生。

「こんな時は誰を呼ぶ?(Who you gonna call?)」
「Ghostbusters!!!」
そう、こんな窮地を救えるのは彼らしかいない。

✏️第二の氷河期
TLに本作の★3中盤台のレビューが散見されたことからイヤ~な予感は心のどこかにあったんですが…
自分もその点数を付けた方々に同意せざるを得ない内容。
全体として、決定的な盛り上がりどころ(山場)に欠ける印象だった。

ちょっと前作の存在が偉大すぎたかなぁ、と。
40年ぶりの新作として当時の映画界を賑わせ、肝心の内容も84年と89年に公開された2作を見ている人ならば思わずニヤリ、そして目頭を熱くさせてくれる何とも完成度の高い「続編」だった。

「オリジナルメンバー総出演」というリーサルウェポンを前作で使ってしまった以上、それを上回るサプライズを本作で作るのはちょっと難しい。
そうなると前作を上回るようなストーリーか緻密な人物描写で作品を盛り上げていくしかないのだけれど、残念ながらそのどちらも凡庸で中途半端。

「ゴーストバスターズ」の醍醐味であるゴーストとのバトル描写は控えめ、というかファンからすれば見慣れたもので、過去作になかった点を挙げるとするなら序盤のドラゴンのようなゴーストをEcto-1で追いかけながら退治するシーンくらいだろうか。
「プロトンパックでゴーストを捕まえる」変わり映えしづらい描写が仇になった印象を受ける。

ゴーストハント稼業から外され意気消沈のフィービー(マッケナ・グレイス)と、火事で亡くなってしまった幽霊・メロディ(エミリー・アリン・リンド)の心の触れ合いは本作の大きなウェートを占めるが、このあたりのストーリーも特に意外性はない。

最大の敵であるガラッカの存在もこれといった驚きはない。
ガラッカが持つのは「全てを凍らせる能力(デス・チル)」。
たしかに強いし恐ろしい能力なんだけど、先ほどまで小物みたいなゴーストと戦ってたのに急にマーベルのヒーローたちが出張ってきそうな圧倒的な力を持ったラスボスと相対するの?

前作のラスボス・邪神ゴーザも強大な力を持つとんでもない存在だが、ヤツはかつてヴェンクマンたちも戦ったいわばバスターズたちの因縁の相手。

40年ぶりの新作に40年ぶりの宿敵。カタルシスのようなものもありゴーザとの対戦にそこまで違和感はなかったが、ガラッカに対してはどうしても「取ってつけた感」が否めない。

人間とゴーストとの友情を描きたかったのか?前作の邪神ゴーザを上回る邪悪との戦いを描きたかったのか?
全体的にどっちつかずなまま映画は終了してしまった。

☑️まとめ
過去作のオマージュもほとんどなかったのは残念。
目立ったのは図書館に出没する、読書をしている老婆の幽霊くらい?

キーキャラクターとして、かつてヴェンクマンたちのゴーストハント活動をやめさせようとしたウォルター・ペック市長(第1作では環境保護局の支局長だった)の出演にはニヤリ。
「バカは治らんな」。

本作の制作発表があった時、「無理に新作作らなくても、『アフターライフ』で終わりでいいんじゃないかな…」と思ったんですよねぇ。完全に結果論ですが。
前作が興行的に成功を収めたので、更なる続編を作りたくなる気持ちは分かるけど。

もしさらに次回作があるとすれば、やはりみたいのは2016年版バスターズとの共演だが…
本作含めた正史のゴーストバスターズと2016年版は世界観が違うみたいだけれど、そこは洋画お得意のマルチバース理論で、なんとか。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★☆☆
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★☆☆
🏃‍♂️テンポ:★★★☆☆

🎬2024年鑑賞数:25(13)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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