なお

落下の解剖学のなおのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

TLに本作のレビューが頻繁に流れてきたのと、2024年アカデミー賞にて作品賞にノミネートされたというニュースを聞きつけ急遽鑑賞。

本作はアカデミー賞のほか、2023年5月に開催されたカンヌ国際映画祭にて最高賞「パルム・ドール」と、名演技を見せたワンちゃんに贈られる「パルム・ドッグ賞」を受賞し、LGBTQに関連した映画作品に贈られる「クィア・パルム」にもノミネートされた。

✏️静かで熱い法廷バトル
いや~~~…
前半はとにかく眠くて仕方がなかった😪

この日の朝イチ、といっても10時上映開始なのでめちゃくちゃな早朝、というワケでもないのだけれど、今年見た映画の中ではダントツで睡魔と戦う時間帯が長い映画だった。

本作のジャンルは「法廷スリラー」。
予告編だけ見るとサスペンス・スリラーチックだが、いきなり大きい音でドン!と脅かしたり見るのも恐ろしいグロテスクな描写や胸糞悪い描写はほとんどなし。
なので予告編だけ見てそういう要素を期待して見に行った人はだいぶ肩透かしを喰らうんじゃないかなぁ、と思った(自分含めて)。

本作は「会話の応酬」、いわば「舌戦」に徹底した作品であり、屋根裏の窓から転落死した夫の死の真相を詳らかにしていくまさに「解剖学」な内容。
「この会話についてこれるか?」ってな感じのちょっと知的な雰囲気を漂わせていて、およそ自分のように睡魔と戦いながら見る映画ではない。

物語の顛末も、主人公のサンドラ(演:ザンドラ・ヒュラー。てかザンドラにサンドラ役をやらせるってかなりややこしい)が無罪になるか有罪になるか?というおおまかなゴールは決まっていて、結局サンドラは無罪になるわけだけれど、そこに行きつくまでの過程にあまり面白さを見いだせなかったのは残念だったかな~…と。

同じ法廷バトルなら、ゲーム「逆転裁判」のような証拠品をつきつけ机を叩き「異議あり!!」と叫ぶ分かりやすい方が自分は好きですね。

キャスト陣の演技力、ひとりひとりの存在感というものは実に際立っていた。特に主演ザンドラ・ヒュラーが見せる演技は圧巻。
超個人的に、「怒り」の演技がうまい俳優って他のどの演技をやらせても間違いないと思っている。
そのくらい、ザンドラの「怒り」は胸に迫るものがあった。

彼女は本作と日本では今年の5月に公開予定『関心領域』の2作に出演。
どちらの作品でも出色の演技を披露したが、前述のカンヌ国際映画祭では女優賞の受賞を逃し、無冠の女王に。
「彼女のための賞が必要だ」と言われたほど、ザンドラの演技は際立っていた。

☑️まとめ
自分が苦手なタイプの「何度も何度も繰り返し見て登場人物の表情や心境を読み取り、ゆっくり咀嚼し飲み込んでいく映画」だったかな、と。

まるで「見る小説」、いや小説は見るもんなんだけど、単なる映像作品として消化するんではなくて登場人物のセリフや表情ひとつひとつに気を配り、ゆっくりと落とし込んでいくべき映画だったな~と思う。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★☆☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆

🎬2024年鑑賞数:20(9)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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