パンデミックをリアルにシミュレーションした群像劇。それぞれほぼ独立したストーリーを持つメインキャラ 6人（医師 4人、一般人、トリックスター）の視点で背景としてのパンデミックを客観的に浮かび上がらせ、逆にその背景も、6人のドラマに強烈な陰影を投げかける。演技は皆まずまずと思うが、キャスティングが完璧、脇役も含め全員がはまり役。ラストで BF と一緒にいる娘を見てそっと 2階に上がる父など、人間関係の中の感情のきめ細かい描写はソダーバーグお得意。ハリウッドでは珍しい DAW 的な劇伴も収まりが良い。ソダーバーグ作品はあと一歩のところで何かが引っかかって好きになり切れないことが多いが、本作にはそれがなく、ソダーバーグで一番好き。ピンポイントで、ジェニファーイーリー演じる医師が、発症しなかったサルを、防護服を着てフェイスシールド越しに見つめる、達成感と慈しみが入り混じった眼差しがヤヴァかった（個人的には彼女のこの表情だけでも本作を観る価値あると思ったレベル
