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数に溺れての10000lyfhのレビュー・感想・評価

数に溺れて(1988年製作の映画)
2.5
祖母、母、娘と思われる 3世代の同姓同名の女性たちが、それぞれの夫を溺死させる、殺人をその核に据えた耽美映画。例えばマリエンバートの耽美表現は、人間の記憶や感情を増幅する手段だったが、本作では耽美それ自体が目的で、中身がない。また、殺人や死を耽美の対象とし、終盤で少年に首を吊らせるのも悪趣味だ。さらに、検死官の男性が、3人の女性と、成就はしないものの関係を持ちたがるあたり、男性の幻想的な性願望も強く発露されている。「映像美」的には、鳥の死骸を手前に、縄跳び少女の影が外壁に大きく映るカットがちょっと印象に残るが、「アート映像」が氾濫する現在では「ちょっと」どまり。横移動の長回しも多用されている。1 から 100 までの数字がほぼ順番に、画面のどこかに現れたり、セリフに組み込まれたりするのは、安易なイースターエッグだが、オーディエンスのテンションを保つ一手段ではある。一部、実在しなさそうな多くのゲーム紹介も同様。ポップ寄り 20世紀クラシック(サティからグラスあたりへの流れ)の系譜にあるナイマンの、屈折感のある感傷的なハーモニーの劇伴、一世を風靡したのだろうが、今では時代感が強い
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