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ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版の10000lyfhのレビュー・感想・評価

3.5
ハンガリーの小さな町で、巡回サーカス団の姿を見せない黒幕に扇動され、不毛な暴動を起こす住民たちを、まきこまれながら目撃し、捕らえられ、おそらく拷問から精神を崩壊されてしまう青年。青年視点での、町全体規模の抗いようのないうねりを受容せざるを得ない不条理、扇動(すること/されること)とは?、荒波を上手に泳ぐテュンデおばさん(彼女の動きが暴動を含め計算づくなのか、暴動は偶発でその鎮圧で棚ぼた権力ゲットだったのか、明瞭に説明されず、主人公/オーディエンス視点ではわからないのが、得体の知れなさを増す)を筆頭に様々の人物の肖像、それら複合テーマが、しっくり噛み合ったユニーク作。冒頭の日蝕の即興劇、クライマックスの病院破壊など、驚異的なコレオグラフィ&長回しが圧巻。監督の他作に比べ劇伴は局所的で、ピアノとストリングスのありがちな曲、ソースでカルメン前奏曲。純正律(的な音律)を善、ヴェルクマイスター音律(平均律的?)を悪とするのは、ほとんどのオーディエンスには意味不明、一部のミュージシャンは理解できても現代では共感されづらいと思われ、このネタ選びはミスだったと、自称ミュージシャンとして断言する
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