西村大樹

映画 ○月○日、区長になる女。の西村大樹のレビュー・感想・評価

5.0
自分は、一時期選挙活動に関わっていた。陣営に入り、候補者と共に街宣車から手を振り、開票日には固唾をのみつつ開票所からの速報を待っていた。候補者を応援しているから活動に力を貸していたのと同時に、選挙というのが非日常であり、お祭りのような感覚が楽しみたく参加していた部分もある。
『センキョナンデス』『NO選挙、NO LIFE』でも描かれていたが、選挙は祭りの部分もあるのだ。それを1番感じられるのは、陣営に入り一緒に踊ることである。
『立候補』『君はなぜ総理大臣になれないのか』のようなにひとりの候補に焦点を当てた作品も過去にはあったが、本作はそれらに比べ一段上のことを描いている。
まず、この回の杉並区長選は大変に注目されていて、被写体になった方は既成政党の推薦を得ながらも、実際には区民たち個人が応援して候補をもり立てていっていた。その活動の記録、選挙会議も撮ることで、街頭に立ち演説する以外の選挙の実情が撮られ、区長候補に住民から推され立候補した候補者の悩みも撮られている。

今までの選挙映画は、候補者を撮った作品でも外面しか撮っていなかった。本作は、候補者と支持者に本当の密着をすることにより、選挙活動とは、本当の民主的な選挙とは、という部分を見事に記録している。

是非観てほしい。彼女に同調しなくてもいい。普通の方は知らない選挙活動を知るために。
そして、投票所に行く重要性に気づいてほしい。
西村大樹

西村大樹