西村大樹

動脈列島の西村大樹のレビュー・感想・評価

動脈列島(1975年製作の映画)
3.0
大変に惜しい作品。新幹線を主題にした映画といえば、パニック映画の傑作である『新幹線大爆破』が最初に浮かんでくる。
本作は『~大爆破』とは違い、騒音問題という建設時に社会問題になったことを下敷きにした、国への復讐劇といえるモノである。そのため、スリルあふれるシーンは少なく、頭脳戦でのやりとりが主になってしまう。
これは、原作からの違いであり、仕方があるまい。しかし、観客はどう思ったであろうか。淡々と進む推理劇のような展開。たまに新幹線が出てきて「なにかはじまるのでは!」と期待すると、ブルートーザーを止める地味なアクション。
新幹線の騒音問題を描きたいのであるなら、中途半端にサスペンス・パニック調の部分を削って良かったのではないか?騒音で苦しむ人々と、国鉄側の交渉。そこに入り込んでくる過激派……のように三つ巴にしたら、まだ娯楽映画になり得たと思うのだが。
西村大樹

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