ジャン黒糖

ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突のジャン黒糖のレビュー・感想・評価

3.4
計画外だったけど、三連休初日から雨ということで家族総出、思いつきで行ってきました公開初日のウルトラマンブレーザー劇場版!

自分はウルトラマンティガドンピシャ世代ながら、ほとんどウルトラマンシリーズは観てこず、なんなら劇場版ティガ以来のウルトラマン映画鑑賞。笑
そしてブレーザーといえば、評判の良さからなんとなく子供たちの歯を磨くときの繋ぎの時間として見せる程度で、自分は子供たちの鑑賞時に耳で聞いてたぐらいの前情報のみで今回鑑賞。笑
ちゃんとアースガロンやSKaRDの隊員たちの活躍を観るのも初めてだったけど、他のウルトラマンとユニバースを共有しない分、単体の特撮映画として楽しんだ!!
「俺たちが行く!We go!」

【物語】
ゲント隊長率いる特殊怪獣分遣隊、通称SKaRDは度々地球を襲う怪獣からの危機に立ち向かっていた。
ある日出現した怪獣たちの出自から、怪獣たちの細胞を取り扱う化学企業ネクロマス社との関係性を睨むSKaRDたちは独自の調査行動によって世界有数の研究者にしてCEOのマブセ博士に聞き込みをしようと動く。
しかしその矢先、同企業が進めていた細胞"ダムドキシン"の研究開発を止めようとするダムノー星人に研究施設を襲撃されてしまい、保存されていた怪獣たちの物質を融合させた細胞"ダムドキシン"は爆発によって、恐ろしい怪人ゴンギルガンを生み出してしまう…。

【感想】
前情報不要。
冒頭から「あれ、もしかしてこの劇場版ってただのTVシリーズの総集編…?」と一瞬でも不安になるほど丁寧に5分ほどでまとめてくれるので、劇場版から初見でもゲント隊長という人柄、アースガロンとブレイザーの活躍、そして何より個性豊かなSKaRD隊員たちの魅力と絆の深さがよくわかったところで本編が始まるのが大変ありがたい。

また、これは恐らくTVシリーズで半年に渡って育まれたキャストたちの信頼関係があってこそだろうけど、特段説明がなくとも本当SKaRDの面々とアーくん、ブレーザーがちゃんと連携の取れた隊員たちに見えて良かった!
ヤスノブが新スーツを発明したときのそれを囲う隊員たちの和やかな雰囲気とか良かったし、序盤のナグラ副隊長が電話を受け取る場面など、ちゃんと場数踏んできた人たちならではな遊びの部分が初見でも笑えて良かった。
エミの「地獄に帰る時間だよ」とか、アーくんの中で副隊長とアンリが操縦しながら叫んで演技するのとか最高に楽しかっただろうな〜笑

そして彼らを率いるゲント隊長。
ひと昔前の、いわゆる"若手イケメン俳優"の登竜門的なイメージを勝手に持っていたウルトラマンの主演も、彼の場合、隊長というポジションの信頼感や、変身する自分自身が家庭を持って子供もいる、という人物設定が実は新鮮だし、これを親子で観るとなるとより効果的に感じられて良かった!!
イケメン俳優に世のお母様方が子供たち以上にむしろ惚れちゃう!という姿よりは、格好良いゲント隊長の姿を観ては子供たちに「働くパパって格好良いだろう〜?」とドヤりたくなってしまう感じ、わかります?笑
(ただ、76分というタイトな上映時間と、子供向け映画という性質上仕方ないのかもしれないけど、まだ幼い子供たちとこれを観る親としてはゲント隊長、流石にもう少し子供のケアしてあげなくて良いの…?いくらなんでも仕事優先過ぎでは…と過保護気味な親目線で心配してしまった笑)

そして本作。
子供向け映画の性質上仕方ないのかもしれないけど、ちょっと説明セリフ過多で却ってストーリーが途中追いつけなくなったのは自分だけ…?
と思い、鑑賞後妻と話してたら妻も「TVも観てなかったから私は話追うの早々と諦めたよ」と言っていた笑
産業スパイのクダリとかお粗末過ぎる顛末に気持ちがついて行けなかった笑

序盤、増殖するタガヌラーの襲来に対し立ち向かうSKaRDたちの長回しによる戦いの場面とかは迫力あるし、何より「映画版なので気合いの入った画作りしてるんでよろしくー!!」みたいな、作り手の気合いが透けて見えるようで好ましく見えた笑
ただ、ダムドキシン、ダムノー星人、アンチダムドキシン、ゴンギルガン、アースガロン…横文字が多く、全部がビジュアルで説明することなく会話で説明されるので頭がクラクラする笑
「ちょっと今の話、お父さんは正直よくわかんなかったけどとりあえず子供たちが楽しんでそうならそれでOK!」みたいな笑

とはいえちょっとこの説明過多な物語展開が中盤長く続き、ウルトラマンも登場せず、流石にちょっとダレた印象…。

本作のストーリーに大きく関わるネクロマス社のCEO、マブセの息子ユウキの犯した出来事も、正直シャレならな過ぎて親目線で観るとちょっと怖過ぎた笑

ただ、子供たちに罪はないというか、そこは親世代がきちんとケツ拭くよ。という気概を感じた。
ユウキの動機そのものは親へのピュアな想いだけであって、そのあとの行動結果は彼に関係ない。
むしろ、子供たちにこんな想いをさせないコトが親の役目なんだ、というのが本作の大人側に向けたメッセージなのかなと。
(だからこそゲント隊長の息子へのケアはもう少しないと…笑)

そしてそのメッセージの最たるがタイトルにもあり、本作最大の見せ場でもある国会議事堂での対決シーン。
本作では話のキーマンであったマブセ博士が本人的には「人類の夢」と思って研究開発したダムドキシンが、子供にとっては親との距離を突き放す存在となってしまうサマが描かれる。
これはあくまで子供向けのサイエンスフィクションである。

ただ、親より上の世代が自身たちの保身や建前で行動した結果を被るのは結局子供たちであり、その最たるが国会、という終盤にかけて急に痛烈な社会へのメッセージも孕むのがただの特撮ながら凄かった。
予告編にも流れてたけど、国会の最後たるや、一緒に観た子供たちは無我夢中、妻と自分は口あんぐりでした笑
(流石にあれだけの被害を出していながらラストはみんな円満、みたいな描写は大人として「イヤイヤイヤイヤ団欒してらんないぐらいの責任あるよ!!」って思ったけど笑)


という訳で、他のユニバースと接続せず、単独作として年末に最終回を迎えたTVシリーズからの熱量がまだ冷めやらぬいま公開されて観に行くのは大変良かった!
この辺り、TVシリーズも佳境のなかの脚本作りやTVと並行しての制作体制、予算規模、など、限られたなかで作り上げた努力と熱量は劇場パンフレットの田口監督インタビューで詳述されてて良かった!
これは大変だわ!笑

自分はウルトラマンよりはゴジラが好きだけど、特撮は好きなのでワクワクでした!
個人的には次に日本版ゴジラを撮るなら山崎貴監督より、是非とも田口清隆監督に!!!笑
子供たちも家に帰ってもずっとブレーザーの話をするぐらい冷めやらぬ熱量をもって大変満足でした!!
ジャン黒糖

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