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テルマ&ルイーズ 4Kのinazumaのネタバレレビュー・内容・結末

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

「例えどうなろうとこの旅は最高よ」

バカンス台無し系ロードムービー🚙💨
…かと思いきや、そんは生易しい映画ではなかった。
人殺しに始まり、窃盗、公務執行妨害、器物損壊と、どんどん犯罪に味をしめていく二人の姿が清々しさと同時にヤケクソ感もあってとても面白くて、こちらのテンションも共に上昇。しかし、ラストですべて覆されました。
ラストは二人の不屈の精神のあらわれであると同時に贖罪行為ともとれました。
「降伏なんかしない!」という気持ちよりも、二人とも実は抱えていた罪への意識、取り返しのつかないところまできてしまったという絶望感をテルマの最後の表情から感じました。途中テルマが最初に殺されたレイプ魔の死に際の顔を思い出して爆笑するという狂気の場面は、テルマというキャラクターにモヤがかかってしまいました。しかしラストにあの表情を持ってくることで、それは狂気なんかじゃなく罪に怯える優しい人間であるということを示してくれてるように思いました。感情が揺さぶられた状態で迎えるこのラストに半端ない謎の高揚感と、どこかやるせない気持ちが同時に募るという今まであまり味わったことのない感覚に陥り、一生忘れられない映画となりました。

キャストは知ってる人がいっぱい出てて楽しかったな。ガッツリ絡まないものの、レザボアの狂犬たちの共演は見てて微笑ましかった。最近よく会うハーヴェイ・カイテル。あんたにすっかり夢中です。『バッド・ルーテナント』のときのスケベ汚職刑事とは打って変わって、今回はめちゃくちゃ良い刑事になってて安心しました。

SFの印象しかなかったリドリー・スコット作品ですが、また違う顔が観られて満足。この人の作品は雨、というか天から滴る水の描写がとても映えますね。空が存在しない『エイリアン』ですら、水の滴るシーンが印象的に使われていました。あと夕日のカットとかカッコよすぎて惚れ惚れするシーンがたくさん。マジで映画館で堪能できて本当に良かった。

📖パンフレットの感想📖
作られてること自体拍手。欲を言うとキャストのコメントやプロダクションノートがあっても良かったかな。ラストの道なき道を突っ走るサンダーバードの写真が素敵です。何年経ってもこの写真をちょこちょこ眺めることになるでしょう。
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