ベビーパウダー山崎

Love Lies Bleeding(原題)のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

Love Lies Bleeding(原題)(2024年製作の映画)
3.0
ボディビルジム(筋肉)と射撃場(銃)でレズビアンの物語。男性の世界観を逆手に取っての女性の暴力映画。そこに家族の問題、家父長制への抵抗、クズな夫のDV、過剰な筋肉増強剤、エド・ハリスのオモシロ髪型なども闇鍋ばりに放り込まれて先が読めない展開(デタラメすぎて)。
尖り具合にあざとさを感じてしまう面も多々あり。端から何もない作り手よりかはそりゃあマシだが、危うい雰囲気の異常な世界を描きたい気持ちが強すぎて、映画の「芯」みたいなのが見え難く、全体としては稚拙に映る。隙あれば「奇妙な映画ですよ」感をアピール。もっとクールに捉えても気持ちの悪さは伝わるから。なんとなく俺の中では、クローネンバーグの息子やアリ・アスターと同じ枠。
このバカバカしさで大真面目に犯罪スリラーを撮っているとしたら、それはそれで考えてしまう。盲目的な愛の代償としてクリステン・スチュワートがトラブルに巻き込まれ、あたふたする悪趣味なコメディにしか俺には見えなかったが。
トンデモ終盤は、蕎麦屋で蕎麦を食っていたのに最後に七面鳥の丸焼きが出てきたみたいな感じ。(アホすぎて)唖然とはするが、三池のVシネあたりを通ってきた俺たちには耐久性があるので、これぐらいじゃあ驚かないよ。まあ、何度か笑ってそれなりに楽しんだし、作家(おそらくバイセクシャル)が表現者として狂っている可能性も万が一あるので、忘れた頃に成熟して傑作を撮るのかもしれないとの期待を込めて+0.5おまけ。