スワット

オーメン:ザ・ファーストのスワットのレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
4.0
2024年劇場鑑賞39本目 字幕鑑賞
1976年に公開されたカルト的な人気を誇る『オーメン』の前日譚を描く本作。
監督は今回が劇場長編映画作品を初めて手掛けるアルカシャ・スティーブンソン(すごい…)
主演にはネル・タイガー・フリー、ビル・ナイ、ソニア・ブルガ、ラルフ・アイネソンが連ねる。

前日譚を描く作品としては素晴らしい出来だと思います。かなり丁寧に、そしてリスペクトを持って制作された事がよく分かる作りになっています。
自分自身は2006年のリメイク版の『オーメン』(監督はジョン・ムーア)だけ鑑賞した事あって、お化け映画とはまた違う、新たな怖さを体験した事を昨日の様に覚えています。
純粋無垢な子供の正体が呪いの悪魔であるショッキングな内容、また斬新な世界に当時小学生の僕は自分ももしかしたら悪魔の子なのではないか?なんてありもしない出世を疑っていました。

そんなにわか知識の僕でも置いてきぼりになる事なく、『オーメン』の世界感に浸れました。
まず、ローマの孤児院というロケーションがかなり不気味に感じます。
何というか、映像世界の”色”と作品の雰囲気がかなりマッチしている気がします。
当時のローマの社会的背景や情勢にもリアリティをもたらせていて、「あ…これは本当にあった出来事なんだ…」と錯覚してしまうほど世界観に没頭してしまいました。
まぁ話の規模の感じからすると、こじんまりとした纏まりというか、他の宗教機関は何してるんだ?みたいな気になる点はあるのですが、マーガレットの視点を中心に進んでいく事で外野は関係ねーと割り切っているので観ていく内にどうでも良くなりました。

悪魔の姿をしっかり見せない事もこの作品の怖さを引き上げてる要素の1つですよね。
部屋に閉じ込められたマーガレットが、暗闇に何かを見つけ、恐れるシーンとか普通に目閉じてました。
ネル・タイガー・フリーの後半の狂気的な演技はまさに圧巻。
車のシーンからの破水、出産寸前の動きとか人間がする動きじゃなかったです。
こりゃダメだ本当に悪魔に取り憑かれちゃったと…
長回しがこんなに苦痛に感じるとは思いませんでした。

『オーメン』の事を知らない人も、熱狂的なファンも、僕の様なにわか野郎でも楽しめる良作前日譚でございました。
スワット

スワット