ルサチマ

見ての通り(物の見え方)のルサチマのレビュー・感想・評価

見ての通り(物の見え方)(1986年製作の映画)
4.6
異なる2つのイメージの形式上の類似性、仕事道具と戦争で使用される武器、民間のものに紛れ込む戦争道具と戦争道具の中に紛れ込む民間のものを比較する形でモンタージュする。表面的なはたらきとあらゆるイメージの読み取りを構造化するシステムを顕にすることで、観客の(消費者の)知覚を揺さぶるという意味で、ファロッキが映像そのものを批判=批評する探究がここにも読み取ることができる。そしてこれは同時に日常生活に溶け込んだ道路=交通を出発として、規律社会から監視社会へと変化した都市を表象するという意味で、ムルナウ、小津の提示した都市表象をストローブ=ユイレ以降の手法を踏まえて現代社会を描こうとする試みでもあると同時に、そうした都市表象が具体的に何を意味するかについての答えは留保する。相当にアカデミックな思想の映画であるが、映画の前半と終盤に劇映画の中にある濡れ場のアフレコに取り組む音響監督とナレーターの映像を差し込むことで、ファロッキは現代都市の表象と映画の製作の構造を中々に過激で挑発的なユーモアでもって連絡する。
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