洋画好きのえび

めまいの洋画好きのえびのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
3.5
ヒッチコックの最高傑作との評を受け鑑賞。びっくりするほど映像が綺麗。
なお、原題の「vertigo」は「高所から下を見た時のめまい」という意味らしい。ぴったりな単語があるものだ。

犯人追跡中に同僚を死なせてしまった刑事のジョン。その一件は事故として処理されたが、その事故が原因で重度の高所恐怖症になってしまったことや自責の念もあり、ジョンは警察を辞職する。そんな彼に、大学の同級生エルスターからある依頼が舞い込む。それは、「妻を尾行して行動を調査してほしい」というものだった。どうやら、彼の妻マデリンは時々記憶喪失になり、自身の行動を思い出せないと言うのだが…

ストーリーが二転三転し、最後は予想外の展開へ。確かに、ミステリーとしてはなかなか面白い。ただ、主人公ジョンの行動(特に後半)が気持ち悪すぎて、途中からちょっと冷めてしまった。あと、上映時間が長いかな… それにしても、方向性は違えどこの作品の登場人物はみんな狂っている…
この狂ったミステリーを成立させているのは、マデリンを演じたキム・ノヴァクのミステリアスで妖艶かつ上品な演技だろう。上品なスーツやドレスの着こなし。優雅な身のこなし。セクシーなんだけれども、決して下品ではない丁度良いバランス。本当に美しい。
そして、そんな彼女を映えさせる美しい映像。やたら風景描写が美しい。ちょっとフォギーなエフェクトがかかっていて、幻想的。ミステリー映画とは思えない映像美だった。前半はほぼ台詞なしで映像だけで進めて行くが、それでも見飽きることはなかったし、この脚本を成立させるには映像美が不可欠だったのだろう。

そこまで好きなテイストではなかったが、面白い作品だと思う。教養として一度観てみても良いのでは。