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蛇の道のdramaticgasのレビュー・感想・評価

蛇の道(2024年製作の映画)
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天糸を操っているのは小夜子か、黒沢清か、なムービー。

B級もしくはZ級なプロットを、黒沢清的としか言い表せない超ディレクション力で、恐ろしくも美しい奇妙な映画を作り続ける監督が、(随分前の)過去作をセルフリメイクするという変な試み。

キャリアの終盤となり史上最高にハイクオリティとなったディレクション力が発揮された本作からはしかし、黒沢清的なナニカが薄れていて、B級プロットを超絶クオリティで映画化って感じのシンプルなところに着地している。

黒沢清映画が恐ろしいのは、湿度を感じる重く暗澹たる世界で、内面が空洞の(ようにみえる)登場人物が地獄への誘導装置の一部として機能するさまにあると、個人的には考えていて、ヨーロッパのドライなロケーションと(様々な経験を積んで)、ただいるだけで内面が透けてみえる俳優となった柴咲コウの存在の効果が大きいのではないかと思った。