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荒野の用心棒 4K復元版のmaroのレビュー・感想・評価

荒野の用心棒 4K復元版(1964年製作の映画)
4.0
2024年日本公開映画で面白かった順位:20/33
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

『ドル三部作』がマカロニ・ウェスタン誕生60周年を記念して4K復元版として一挙上映!!
本作はその三部作の第1作目に当たるんだけど、三部作とは言うものの、後続の作品とは一切繋がりがない(笑)
監督がセルジオ・レオーネ、音楽がエンニオ・モリコーネ、主演がクリント・イーストウッドという組み合わせで作られた西部劇で、英題に『dollars』が入ってるってのが共通してるだけ(笑)

この映画にはいろいろ逸話がある。
まず、こういうイタリア製の西部劇はこの作品の大ヒットを受けて世界的に知られるようになったそう。
イタリアってことで、アメリカでは「スパゲッティ・ウェスタン」と呼んでいたときもあったらしいけど、「それじゃ細くて貧弱そうだ」ってことで、日本ではあの淀川長治が「マカロニ」と呼び替えたとか。
なんにせよ、マカロニ・ウェスタンというジャンルの知名度を爆発的に高めたのはセルジオ・レオーネ監督なのだ。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(1990)でも存分にパロディが使われていたしね。

そして、この映画はあの黒澤明監督の『用心棒』をリメイクした作品でもある。
『用心棒』を観たセルジオ・レオーネ監督が感銘を受けて、舞台を西部劇に変えて黒澤明監督の許可を得ずに非公式に作り上げた。
まあ、実際はリメイクの許可を取ろうとしたんだけど、東宝が相手にせずに無視していたので、イタリア側が勝手に作っちゃったっていう話らしい。

なので、大まかな話はオリジナルの『用心棒』と同じである。
ふらっとやってきたガンマンが、町を支配する二大勢力を争わせて共倒れさせようと画策するわけだ。
みんな銃を持ってるし、血の気の多いやつらなので、下手したら命を落とすことにもなりかねないのに、よそ者が勝手に首を突っ込んでそこまでやるなんてお人好しすぎだけどね(笑)

で、この映画で一番の見どころは、やっぱり若かりし頃のクリント・イーストウッドだよ!
映画公開当時が34歳なので、撮影時は32~33歳ぐらいか。
あの端正な顔立ちに193cmの長身。
令和でもあんなイケメンそうはいないって。
僕の高校時代の英語の先生が若い頃にファンレターを書いたって言ってたけど、これはわかる、わかりまくる。
そんな男前すぎる主人公がさ、風のようにやって来て、トラブルを解決して、風のように去っていく。
多くを語らずしれっとやるべきことをやるあの姿はマジでかっこいい。

早撃ちのシーンも印象深いね。
映画で使われている拳銃って、シングルアクション式のリボルバーがメインだから連射ができないのよ。
一発撃つたびに、撃鉄を倒して引き金を引いて弾を発射し、次に撃つときはまた撃鉄を倒してという動作が必要になる。
だから、早撃ちするときは両手を使う。
片方の手で撃鉄を倒して、もう片方の手で引き金を引いて撃つ。
これをいかに素早く行うかって話なんだけど、ものすごく標準が合わせづらそうなのに百発百中の精度で敵を倒しちゃうところが主人公たるゆえん。

あと、この映画で外せないのが音楽。
映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが手がけた音楽はやっぱり素晴らしい。
「西部劇といえばこういう音楽だよね」っていうスタンダードを作ったのも彼だから。

そんなわけで、とにかくクリント・イーストウッドがバチクソイケメンなので、それだけでも一見の価値アリ。
出ている人のほとんどが僕の亡くなった祖父母の世代の人で、今なお元気に生きて第一線で活躍しているのはクリント・イーストウッドぐらいかも(笑)
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