初月2本目!しばらくはホラー路線を辿ろうかな。今年こそは観ようと決めていたホラー映画の一つです。父親の都合によりアメリカから遠く離れたドイツの山奥にあるリゾート地へ移住を余儀なくされた 17 歳のグレッチェン。継母と幼い妹との溝は一向に埋まらず、どこか奇妙な雰囲気を放つ近隣住民の存在もあり居心地は最悪。しかし、そんな憂鬱を抱えるグレッチェンを予想外の恐怖が襲い始める……。
✔独特な世界観
終始、 気味の悪い胃がムカムカするような世界観を堪能しました。 物語の舞台であるリゾート地に住まう人々の存在が大きく起因していますね。全員が変人の気質を隠せてないこともあって、本編を観ているこちら側としては、不快な気持ちになったり主人公グレッチェンと現地住民とのギャップを面白く感じたりと、感情の渋滞がすごかったです。しかし、観客を引き込む手法としては非常に巧みだなと感じましたし、ホラーコメディというジャンルの持つ利点を最大限に活用していて素晴らしかった。観進めていったら、まともな人がグレッチェンしか居なくなって本当に置いて行かれたな。こういうの大好き。
✔ハンター・シェイファー、ダン・スティーヴンス
本作における宝ですお二人は。 リゾートホテルのオーナーを演じたダンは、これまで様々な「変人」 を演じてきました。しかし今回も平常運転と言わんばかりに……山奥のリゾートホテルの管理人という様々な背景の推測ができるようなキャラクターに隠された狂った人間性を体現した演技、 最高でしたね。最高に気持ち悪くて引き込まれた。そして、本作において唯一まともなキャラクターを演じたハンター。思春期真っ只中の 17 歳ながらニヒルかつ反抗的な一面を持ち合わせたグレッチェンを見事に憑依させていました。『Euphoria』での長きに渡る名演の片鱗が垣間見えたと強く感じる素晴らしい演技は是非とも観てほしい。
✔Cuckoo……
この映画のキーポイントであるカッコウ。この生態に関する記述が作品と深く関連しています……とだけ言っておきましょう。強いて言うならば、 『ビバリウム』を鑑賞した方なら推測できるかと思います。あれも十分に気持ち悪い変な映画なので……。補足として、原題に使われた 「Cuckoo」という言葉には 「カッコウ」 という名詞的用法の他に、 「気が狂った」という形容詞的用法もあります。このダブルミーニングもまた、この作品を理解するうえで重要かもしれませんね……。
久々のホラーコメディ。 あまりに独特で斬新な作風で、気づかぬうちに手玉に取られていました。普通にめっちゃ気持ち悪くて怖くて面白い常軌を逸した珠玉の一本。