パピヨン

幕末太陽傳のパピヨンのレビュー・感想・評価

幕末太陽傳(1957年製作の映画)
4.5
これはもう!日本喜劇映画の“最高峰”であり、日本喜劇映画の紀元1年的作品とも呼べるものではないでしょうか?
1862年(文久2年)の品川宿。金持ちを装い、遊郭旅籠の相模屋で豪遊した佐平次(フランキー堺)は、出来ない支払いの変わりにと、居残りを決め込んで働き始める。要領のいい佐平次は、あれこれと仕事をこなして行く。先輩同僚たちは次第に佐平次の器量に感服し、慕われ頼られる様になって行くが····。高杉晋作役で石原裕次郎や、女郎おそめ役で左幸子や、女郎こはる役で南田洋子等々。裸のフランキー堺と石原裕次郎が風呂に浸かるシーンなんて、オォーって感じです。
いくつかの古典落語のネタをモチーフに本作品の川島雄三監督や、その一番弟子の今村昌平等が脚本を手掛けてます。一つの場所に様々な人間模様を持った人々が集まって、そこから物語が発展して行く方式「グランドホテル方式」の群像劇であり、アンサンブル·プレイです。この主人公を一人二人に限定せず、数人のキャラクターの物語が平行して進行させて行く、今では一般的な手法を既にやっていて、テンポのいい大掛かりなコメディーですね。川島雄三監督の構想で、ボツになってしまったラストシーンは、その後数々のクリエーターの手によって再現されている様です。「蒲田行進曲」等々。65年も前の映画が、今尚各方面で高く評価され続けていることで、その凄さが伝わりますね。一度は体感して頂きたい名作です。
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