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もしも昨日が選べたらのmaverickのレビュー・感想・評価

もしも昨日が選べたら(2006年製作の映画)
4.5
2006年のアメリカ映画。主演はアダム・サンドラー、共演に、ケイト・ベッキンセイル、クリストファー・ウォーケン。ボタン一つで人生を操れる万能リモコンを手に入れた男を描くコメディ作品。


温かな気持ちで心を満たしてくれる感動作。コメディとして大いに楽しめるのはもちろん、人生における大切なことを教えてくれる素敵な作品である。良い作品だろうなと予想はしていたが、その度合いは想像を遥かに超えてきた。後半はもうぼろ泣き。本作を観れば、一日一日が愛おしくなる。

脚本が良く出来ている。万能リモコンのそもそもの設定と、それを基にした物語の構築が上手いなと。主人公を通して、我々は人生において見失いがちな大切なことに気付かされる。笑いも交えて面白おかしく描きつつ、大事なことは鋭く刺さるように。そうした作中のバランス感覚も絶妙だ。笑っちゃうのに泣けてくる。号泣しているのに思わず笑ってしまう。そんなシーンがいくつもあった。

アダム・サンドラーはラジー賞の常連ではあるものの、優れた作品の出演も多く、その場合は良い演技もする俳優だ。本作もまさにその一つで、彼の演技に何度も涙腺が緩んだ。父親のシーンは涙なしには見られない。あのシーンは真に迫っていた。改めて良い俳優だと思ったし、好きになった。

ケイト・ベッキンセイルが奥さん役なんだけど、めちゃくちゃ可愛い。美人なのに、本作では可愛らしさに溢れていた。犬がアヒルのぬいぐるみと交尾しているのを見て欲情しちゃったりと、笑っちゃう可愛さがあって好き。こんな素敵な奥さんがいても、不満を持っちゃったりするのがリアルなところ。でも主人公はそれを心から後悔する。大切なことは失ってから分かってしまうものなんだよね。

クリストファー・ウォーケンの役柄もめちゃくちゃ良い。コミカルな演技の中にも深みがあるのがさすがだ。絶妙なスパイスとして本作で機能している。まさに適役であった。

アダム・サンドラー繋がりでコメディ畑の俳優がたくさん出演している。それを認識出来るとさらに楽しめる。コメディ俳優じゃないけど、『ナイトライダー』のデビッド・ハッセルホフが社長役で出演していたのも嬉しい要素だった。色気ありまくりなのに、本作では笑えちゃうんだよね。


限りある人生。「もしも昨日が選べたら」どんなに良いかと思うことがある。何でもっと大事に過ごさなかったのかなと反省することばかりだ。でもそれは叶わない。だからこそ、今を味わい深く悔いのない様に過ごせるように。そう意識して毎日を生きなければならない。本作でそれを改めて教えられた。素敵で美しい物語。大好きな作品だ。
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