2回目です。
忘れていたと思ったら全部覚えていた、そのくらい印象的な作品です。
子供の頃からある家の庭師として働いていた初老のチャンス。主が亡くなり、初めて家の外に出ます。テレビでしか見たことのなかった世界で出会う人たちは、チャンスの率直で純粋で謙虚な姿勢に魅了され、深遠な言葉に哲学的意味を見出だします。
でも、コメディなんです。大統領候補にまでなってしまうのです。
チャンスは庭の世界しか知らないので、庭のことだけ話します。
人はそれを隠喩としてとらえ、また、世離れした、紳士然とした、自然な姿に心地好さを感じていきます。
アイロニーなんだけど、勝手にチャンスを偶像化して崇め、みんながハッピーになっていく。
一つの世界でそれだけに生きてきて極め、自分の哲学をもつ。素晴らしいと思います。
エンディングが素敵です。
昔読んだ本で、タイトルがうろ覚えなのですが、「ゾマーさんのこと」違ったかな。読後感と似ていました。
私も植物や庭が好きなので、チャンスの言葉がメタファーに感じました。