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午後の遺言状のskm818のネタバレレビュー・内容・結末

午後の遺言状(1995年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

杉村春子演じる大女優が避暑にやってきたところから数日間の出来事を描いたもの。彼女が滞在している間に、認知症の友人が夫とともに訪ねてきたり、逃走犯がピストルを持って闖入してきたり、そいつの逮捕に協力したり、表彰されたり、レストランで食事をしたり、管理人兼家政婦から実は亡き夫と不倫していたと言われたり、彼らの間の子である娘の足入れ式を見学したり、旧友とその夫が心中したことを知ったり、そのことを伝えに来たルポライターの案内で旧友の足どりを追ったりする。
いきなり冒頭で、別荘の庭の手入れをしていた老人の覚悟の最期が語られる。これは旧友夫妻の心中や、大女優が拾ってきた石の話につながっているんだろうなあ。大女優は、自分が死んだらこの石で棺の釘を打ってくれと頼むが、管理人は縁起でもないと思ったのか、その石を川に捨ててしまう。多分大女優は長生きするだろう。
杉村春子と乙羽信子というそれこそ大女優の演技を堪能できる。チェホフ劇のセリフまで出てくる。足入れ式の踊りもすげー。エンドロールのクレジットに大駱駝艦とあったけど、あれが大駱駝艦の人たちなん?
認知症の妻を抱えて行き場をなくし、おそらく生活にも窮して心中してしまう老いた夫って、この映画にも出てくるように昔からいたんだろうけど、今のほうがさらに身近で深刻で他人事じゃない感が…  ボケた妻が、昔演じた芝居のセリフは覚えていたり、毎朝の習慣である夫の稽古をみることは続けていたりといったところが興味深い。ゲートボール許せなくて金属バットとかも、もはや笑い事じゃない。
最後に泊まった民宿の主人が持ってたのって、心中夫婦の夫である能役者の扇子では? どっから持ってきたんだよ。ちょっとうわあって感じがした。
管理人の娘と松重豊演じる彼氏との新婚旅行は、今となってはかなりアイタタ感が笑 
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