坂元裕二、松たか子、松村北斗の魅力ドバドバ映画なので、3人のうち一人でも好きだったら観て損はないと思う。
「恋愛感情と靴下の片方はなくなります」
坂元裕二節炸裂。私は坂元裕二脚本が好きかと言われると、独特の雰囲気があるなと思うけど、めちゃくちゃ好きというわけではないので、今回もああ出てる、めっちゃ出てるなあという感じで鑑賞した。印象的な台詞が多くて面白いなと思う。
松たか子さんも上手い下手って言うより、ずっと松たか子で、松たか子さんのファンは堪らないと思う。20代のカンナもご本人が演じていて、それが完全にラブジェネの松たか子でびっくりした。エンドクレジットでグラフィックデザインみたいなパートがあったのでCG的な若返り処理を施してると思う。思うというか絶対にやってる。逆に45歳の現在のビジュアルは顎のラインとか20代とギャップを出すためにわざと少し太ったりしたんじゃないかなと思った。もしくはCG。というのは映画のプロモーションの動画を見たらすごい顎がシュッとしてたので。女優って、というか女性って老いても綺麗に見られたい人が基本的には多いと思うので、今の松たか子さんも全然お綺麗なんだけど、どんだけ今チャーミングでも、同じ作品の中で20代の自分と見比べられちゃうのって普通は嫌だろうなと思って、それを受け入れてるのがすごいなと思った。ご本人がどう思ってるかわからないけど。
魅力ドバドバの中で今回特に輝いていたのは松村北斗さん。「夜明けのすべて」で演技が自然だなくらいしか感想を残してなかったけど、今回やばいね。爆発してる。坂元裕二の脚本って良くも悪くもわざとらしい癖があると思うのだけど、彼の演技はすごい自然だし、何より声が大変魅力的な人だなと思った。老けてからのシーンもわざと声を低くしてたんじゃないかなあ。ジャニーズ(スタートエンターテイメント)の人たちが多才なのはずっと前からそうだけど、演技力がずば抜けてる気がする。Wikipediaを見ると、自分が見つけてなかっただけで、演技歴長い方なんだな。お見逸れした。
ストーリーとか内容は、時かけ的でありまどマギ的であり。結構みんな泣くっぽいけど、私は心死んでるので全然泣かなかった。結婚してる人が観るとまた違うかも。あらすじに書いてあるからネタバレではないとして書いちゃうけど、そもそも旦那さんの靴下履くってだいぶ変わってるし、しかも離婚する相手の靴下履いてるのも私にはちょっとわからなかった。指輪もずっとしてたし、苗字もそのままだし、冷え切ってても愛情はあったということが言いたかったのかな。にしても靴下共用はだいぶ癖が強いと思った。そんなクドくしなくても伝わるから大丈夫と言いたいけど、これが坂元裕二だという気もする。タイムリープとかありえないファンタジー設定も靴下の件も、松村北斗さんの演技力と松たか子さんのキャラクターでギリギリ観てる間は成立してると思っていて、俳優ってすごいなと思った。ちょっとうだつが上がらないとは言え29歳の男性が、一般人と比べたら綺麗とはいえ45歳の女性にほぼ一目惚れするというのもだいぶファンタジーよ。いやー、松村北斗さんとんでもないね。とっくに映画業界では見つかってる人だと思うけど、これからさらにひっぱりダコになる気がする。この映画は彼の名刺代わり。
最初の餃子は誰が注文したのか気になった。やっぱりあれも駈なのかな。どっちとも取れる気がした。2回観たら、1回目で何だろうって思ったところがクリアになりそう。
あと、かき氷のTシャツのデザインが大島依提亜さんぽい。
〈以下、ネタバレに言及〉
過去を変えて現在に戻ってきたら駈が「おかえり」とか言ってくれるのを心のどこかで期待しつつ、駆が助かる=赤ちゃんが助からないということになるので、まあああいう終わり方になるよね。後味悪くなっちゃうもん。松村北斗さんの声が素敵なので最後の手紙も効くよね。