ダイアー教授

ドリアン・グレイ/美しき肖像のダイアー教授のレビュー・感想・評価

3.5
題:臭くないドリアン

オスカー・ワイルドの代表作「ドリアン・グレイの肖像」が原作です。
原作は多分、著者のワイルドがブイブイいわしてた1870~90年代あたりだと思いますが、
映画は舞台を1960年代のロンドンにしてあります。

1.ドリアン・グレイとは?
絶世の美青年の名前がドリアン・グレイ(Dorian Gray)です。
ドリアンって、なんか臭そうな名前ですが、臭くないドリアンです。
多分、すごくいい匂いがします。
私の勝手なイメージですが、彼はダビドフのクールウォーターみたいな匂いなんじゃないかなと思います。

2.文芸映画の美女と美青年
文芸作品の映画に登場する絶世の美女と美青年のキャスティングは難しいと思います。
私見ながら、文芸映画史上でビタっとハマったのは

『ベニスに死す』のタッジオ役の男の子、
『テス』のナスターシャ・キンスキー、
『潮騒』の山口百恵…

が、パッと挙がると思いますが、
本作『ドリアン・グレイ』のヘルムート・バーガーもその一人だと思います。
オスカー・ワイルドも気にいるでしょう。

3.オスカー・ワイルド
この映画を観るにあたってはオスカー・ワイルドの“人となり”と原作『ドリアン・グレイの肖像』のリテラシーがある人とない人で別れると思います。

私はオス好き・猥るど…いや、作者のオスカー・ワイルドについてある程の知識がありますし、原作も読んだことがあります。

作者と原作のリテラシーがある人とない人では大きく観方も変わるでしょうし、
私は、逆にそれを知ってみたいです。
全くワイルドも原作も知らない人が本作を観てどう感じるのか?

4.私だけ?
私だけかもしれませんが、劇中のドリアンの衣装に対し半笑いを禁じ得ませんでした。
原作者のオスカー・ワイルドが変ちくりんな服装を好んだのが元になっているのでしょうか?

『ブルーノ』を思い出したからです。
サシャ・バロン・コーエンはオーストラリア出身で19歳の男色青年ブルーノ、つまり「ステロタイプな変態ナルシスト・ゲイ」の役作りに際し、
この映画のヘルムート・バーガーのルック(服装、髪型)を参考にしたんじゃないか…?
と思う次第であります。