ダイアー教授

遊星からの物体Xのダイアー教授のレビュー・感想・評価

遊星からの物体X(1982年製作の映画)
4.1
題: 傑作
監督:ジョン・カーペンター
原題・原作:The Thing、「影が行く」
製作:1982年、米
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演: カート・ラッセル、キース・デビッド

原作はSF短編小説「影が行く」。
1951年に『遊星よりの物体X』のリメイク。
閉鎖空間、疑心暗鬼、パニックサスペンスSFホラー

半期に一度くらいの周期で観たくなる。
昔は木曜洋画劇場と午後ローで1年に1、2回は流していたので欠かさず視ていた。

大好きな作品です。3つにまとめてレビューします。

1.特撮
クリーチャーがすごい!
造形はロブ・ボッティン※一部スタン・ウィンストンらしい。
ボッティンはヴァーホーベンの『トータルリコール』と『ロボコップ』の特殊効果の人。
味がある!
私はCG特撮全盛期の時代を生きてきたが、ひと昔前の特撮が大好き。
職人技を感じる。
リアルさは見た目を“本物に近づける”ことではなく、“説得力”を与えることなんだと思う。

2.カーペンター風味
南極基地という閉鎖空間で起きる話であるが、建物の全体図を見せてくれないのでどこの部屋に誰がいて、何があって、何が起きているのかが分からない。
『パラダイム』でもそうだった。
意図的なのか、下手なのか、カーペンターが天然なのかわからないが、
私はこのカーペンターの風味が好きだ。

また、コミカル演出もカーペンターの風味かもしれない。
グロテスクなのだが、滑稽なシーンが多い。
とりわけ血液検査シーンでの、“ソファに縛られテンヤワンヤ”のカオスっぷりは爆笑もの。

3.後世への影響
・オープニングは宇宙空間から“何か”が地球に落ちていくシーンであるが、『プレデター』のオープニングはこれのオマージュなのではないかと思う。
・塚本監督の『妖怪ハンター』、ベイの『トランスフォーマー』のフレンジー、こいつらは本作のクモ頭のオマージュではないだろうか?
メガトロン様が北極の氷土で見つかったってのも『遊星からの~』を匂わせるし。
・「彼岸島」の異形のものたちはギーガー+『遊星からの物体X』にインスパイアされたと思います。
この考察はマニアック過ぎますかね…