Ryoma

愛の調べのRyomaのレビュー・感想・評価

愛の調べ(1947年製作の映画)
4.3
シューマン作曲の“トロイメライ“、彼が作曲したその曲を妻のクララが楽しそうに幸せそうに弾く姿は、言葉で発さずとも、夫婦の仲睦まじさが窺え、ひたすら微笑ましかった☺️
タイトルにもなっている“愛の調べ“=愛の楽曲、音色、メロディという意味を込めてシューマンが愛する妻のために作曲した“献呈“という楽曲も素敵。
7人の子どもを授かったというシューマン。彼の妻は、天才ピアニストとして活躍していたが、彼女も彼を愛していたが故に、自分の道は諦め彼のサポートにまわり、一途に応援し続けた。そんなエピソードがあったなんて全く知らなかったし、なんて素敵な話なんだ。売れない時代に苦しみ自暴自棄になりかけたシューマンを優しく見守り続けた彼女は改めて尊敬するべき存在だなと。
彼に限ったことじゃなく、芸術家やアーティストであれば、珍しくないことのように思うが、売れる時期も売れない時期もあり、思い詰め熱心にのめり込む人が多いが故に、自ら命を絶つ人も多く彼も例外ではなく、波瀾万丈な人生を歩んだなと。その苦悩がわかる後半で再び流れる“トロイメライ“には、彼が生きた証そのもののように感じ取れ、うるっときた。
シューマンと同じ時代を生きた世界的作曲家のリストやブラームスも登場。リストは威厳が凄い大物って感じ。ブラームスは優しい好青年って感じで、シューマン夫婦や子どもたちとの交流から本当の家族のようで微笑ましかった☺️
リストであれば、“愛の夢“が好きだな〜。ブラームスはあまり今まで聴いてこなかったからか、聴き馴染みがない曲が多かったため、これから少しずつ聴いていこうかな。
シューマンがいなくなった後、彼を深く愛していたが故に彼女が深く悲しみ塞ぎ込んでいたが、十分に悲しみ彼の死を受け入れた上で、彼の曲を広めるために世界各国を回ったなんて素敵すぎるし、彼女が新たな生きがいを持って人生を歩み出してくれて本当によかったなと感じた。
彼女が“トロイメライ“を独りで弾く姿は、清々しく見え、今はこの世にいなくてもシューマンと2人でこれから歩んでいくんだという強い決意に見えた。
ピアノの美しい旋律に載せて描かれるシューマンとその妻クララの究極の愛に酔いしれ堪能できる素敵な作品だった。
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