Ryoma

それでも私は生きていくのRyomaのレビュー・感想・評価

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)
4.3
親の介護や仕事、それに育児など、生きていく上で、切っても切れない要素に囲まれながら、なんとか生きていこうとする女性のとても人間味溢れる作品。日本がどうかは定かではないけれど、フランスにおける介護制度や施設の劣悪な実態など、世界でも通ずるであろう社会提起に触れつつ、非常に現実味を感じる人物像が映し出されていて良かった。完璧な母親などいるはずもなく、シングルマザーの方の立場において、仕事や育児だけではなく、恋愛などの欲が芽生える様子も普遍的に違和感なく描かれていた。それを他作品とはイメージが一掃されたショートカットのレア・セドゥがまさに人間味溢れる演技で体現していたように感じた。人である以上、間違いや過ちを犯してしまうことはあるけれども、それを受け入れた上で、そっと背中を優しく押してくれるようなメッセージを感じさせてくれるラストシーンが特に好き。人生で幾度となく降りかかる計り知れないほどの苦しみや悲しみを経験した女性がふと魅せる優しい表情は本当に美しく、何があってもひたむきに生きる姿は本当にカッコいい。

この世には褒められた行動ばかりできる聖人も、正しいことばかり選択し行動できる善人もいない。人に迷惑をかけない程度で、自分の思うままに生きるのが何より大切。人生は短く一回きりであるし、人生はその人だけのものだから。
Ryoma

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