浅井拓馬TakumaAsai

猿の惑星・征服の浅井拓馬TakumaAsaiのネタバレレビュー・内容・結末

猿の惑星・征服(1972年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

前作から20年ほど時が経ち、コーネリアスが語っていた人類滅亡の筋書きとほぼ同じような未来がやってきている4作目。

まず、「人のシルエットをした猿」というビジュアルのインパクトによって成り立っていたはずの進化した猿たちのデザインが、現代の猿も同じように解釈されている時点でビジュアルから表現される精度が相当に落ちている。
仕方がないこととはいえ、ここはあまりにも無理があり、その時点でシリーズが遠く離れたところへ来てしまった寂しさを感じざるを得ない。

ただ猿を通してストレートに描かれる人種差別や管理社会的な抑圧を描いた世界観は一定の説得力を持っており、緊張感のある空気があることもたしか。
しかし人種差別的な視線で見ていくと猿はなぜ奴隷になったかという問いへのブレックの回答にぶち当たる流れがあり、その後の展開が公開版と完全版の2種類あるのだけど、完全版の方はブレックの視線を完全に否定する展開で、公開版はマクドナルドやリサの「NO」の言葉を受けて踏みとどまるという流れ。
広く見られるであろう公開版の方だとブレック=支配者層の傲慢さが放置される結果となり、これだけ直接性のある設定や描写を採用した映画としては、その時点であくまでこれは猿の惑星って映画の、というスケール感に収束してしまう展開の採用は、故にこの映画の弱さに転じてしまい残念な点。
試写会の反応を受けて差し替えたそうですが...

如何に一作目の持っていた距離感が優れていたかが改めて実感される。