円柱野郎

最後の忠臣蔵の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

最後の忠臣蔵(2010年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

何故瀬尾は討ち入りの前夜に逃亡したのか?が話の中心になるかと思ったら、そうではなく、瀬尾と彼が養う大石内蔵助の隠し子・可音との関係が中心に描かれていく。
義理の親子的な関係や、可音の瀬尾に対する感情など、これでもかと言うほどじっくりしっかり見せるのは良いんだけど、逆にその時間をかけた見せ方は退屈との表裏一体。
じっくり過ぎやしないか?

ただ終盤の輿入れの場面では、そこまでに積み重ねたシーンがようやく生きてきたかのように思え、人間ドラマとしてなるほどなと思った部分もあります。
全体的に瀬尾と可音のドラマに注力しすぎなので、本来進行役であるべき寺坂をもう少し深くしてくれても良かったと思うけれど、それは映画の尺の問題もあるだろうか。

場面場面では人形浄瑠璃の曾根崎心中が挿入されて、色々とストーリー上の暗示的なものを感じさせる様になっている
だけど、個人的には3度目くらいからくどく思えてきたかな。
ストーリー上、浄瑠璃を見せるシーンがあるのだからそこだけでも十分で、ことある事に見せられ聞かされるのは、主張としては分かるけど若干しつこかった。
まあ何と心中するかにおいて、忠義と心中した瀬尾の武士としての生き様には感じ入るところがあるし、観終わればタイトルも「ああ、上手いな」と思える話ではあります。
円柱野郎

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