PANDADA

スリ(掏摸)のPANDADAのレビュー・感想・評価

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)
3.0
貧しい青年がスリになる誘惑に惹かれ、師匠兼相棒的存在から手ほどきを受け上達していく。友人達もそんな彼に気づきはじめる。犯行と更生を繰り返しつつも、逮捕された青年はやっと本当に大切なモノに気づくお話。

芝居がかった演技が大嫌いなブレッソン監督は作品毎にその場限りの素人を集めて撮影を行う監督。

今回もそんな素人ばかりの作品ですが、逆にそれが良いですね。
垢抜けないし、素朴なぶん、ものすごいリアリティが出てます。

そして、スリのシーンがものすごい鮮やか。
特に3人1チームでの連携技は芸術的なほど。
そして、それを丁寧に収める撮影技術もすごいですね。
60年近く昔のモノクロ映画なのに、現代の映画でもこれより鮮やかに撮れてる映画は少ないと思います。
このシーンだけでも観る価値ありです。
大事なのは派手に撮ることじゃなく、丁寧に撮ることだということがわかります。

わずか76分という短い時間に古き良き映画のエッセンスを詰めるだけ詰め込んだ素朴な良作。

素人ばかりの作品ですが、ヒロイン役のマリカ・グリーンがものすごい綺麗ですね。

彼女は本作をきっかけに女優となり、後年には「エマニエル夫人」にも出演してます。

ここの所、新しものばかり観てましたが、モノクロの良作もたまには良いですね。
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