しんご

マネーボールのしんごのレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
3.9
資本力がないために弱小球団に留まっていた「オークランド・アスレチックス」に「セイバーメトリクス」という統計論を取り入れ、同チームを20連勝させプレーオフ進出に導いたビリー・ビーンGMの実話。

選手の実績、将来性、打撃スタイル、スカウトの勘等が支配的である従来の野球界の「伝統」を覆す理論はその提唱者が野球に関しては素人同然であったため球界からは黙殺に近い扱いを受けており、実際にこの理論で結果が当初出せないアスレチックス。その中で、同理論を曲げずにチームを強豪陣へと導いたビリーの熱意に感動。彼自身も球界「伝統」の中で選手生命を終えた体験から、選手に対する正当な評価方法について飽くなき追及を怠らない姿勢がセイバーメトリクス理論を推進する原動力となっているが、この彼の原体験とチーム運営のモチベーションをリンクさせるシナリオの構成も違和感なくお見事。

こうして選手を正当に評価する上で、チームにとって不要な選手を切り捨てるのもGMの仕事であり辛いところ。ビリーが選手と距離を置く理由もわかるし、それを踏まえて彼が選手とコミュニケーションをとるようになる心境の変化も1つの見どころ。娘の歌を聴きながら、車を走らせるラストでしんみり。

余談だけど、イチローが出てきますね。
彼はセイバーメトリクス理論をもっても、アスレチックスに手が届かないスター選手の象徴として描かれています。
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