ほーりー

12モンキーズのほーりーのレビュー・感想・評価

12モンキーズ(1995年製作の映画)
4.0
【ブルースって赤ちゃんみたいな表情するよね】

と、ブルース・ウィルス好きの嫁に話したら、激しく同意してくれた。

テリー・ギリアム監督によるSFサスペンス『12モンキーズ』は、クリス・マルケル監督の短編映画『ラ・ジュテ』からインスパイアされた作品で、タンゴ調の不思議なテーマ曲(テレビでよく使われるアレ)と、不気味な12モンキーズの紋章が印象的。

新型ウイルスにより滅亡の危機に瀕した人類を救うためタイムスリップするというストーリーがこのご時世においてとてもタイムリーに感じられる。

タイムマシンも場面転換だけで描いちゃうのが凄い。まるでコントのスケッチをつなぎ合わせるかのようで(さすがテリー・ギリアムだけあって)、『ターミネーター』のようなド派手な光学処理でなくとも作品の雰囲気さえあえば、これぐらいアッサリした描写でもいいのだと思った。

未来世界から過去に送られた主人公を演じるのがブルース・ウィルス。

ポンコツタイムマシンであるため、目的通りの時代に飛ばされず、精神病院に収監されるわ、素っ裸のまんま第一次大戦に飛ばされるわで踏んだり蹴ったりの目に遭う。

そんな時に見せるブルースの表情が赤ちゃんぽくて、可愛らしさがある。

脚本は良くできていて、ブルースが毎度見る夢の真相や、未来世界の不思議な光景が、物語が進むにつれて伏線として効いてくる。

そしてタイムスリップものにありがちなタイムパラドックスの矛盾もクリアしており、他サイトさまでの解説を読んで、思わずおぉ!と感心してしまった。

少年の両目のアップからはじまり、ラストは同じ少年の両目のアップで幕を閉じるのは、まるで輪廻転生を彷彿させるかのようで作品の奥深さを感じる。

解釈によってハッピーエンドとも取れるし、バッドエンドにも取れる。そこは劇中にブルースが映画館でマデリーン・ストゥ(美しい!)に言った台詞にもリンクしている。

脇役に先だって亡くなったクリストファー・プラマーやモノマネ芸人のフランク・ゴーシンが出演しており、劇中にヒッチコックの『めまい』が登場するなど、ちょっと昔の映画好きも嬉しくなるような要素も多かった。

■映画 DATA==========================
監督:テリー・ギリアム
脚本:デヴィッド・ピープルズ/ジャネット・ピープルズ
製作:チャールズ・ローヴェン
音楽:ポール・バックマスター
撮影:ロジャー・プラット
公開:1995年12月27日(米)/1996年6月29日(日)
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