みーちゃん

誓いのみーちゃんのレビュー・感想・評価

誓い(1981年製作の映画)
4.5
これまで観た戦争映画とは違う良さを感じた。残虐なバイオレンスシーンを覚悟していたら、そうではなく、メル・ギブソンとマーク・リーが演じる二人の短距離ランナーの青春が切り取られていた。それが一転する戦場でのラストが観客に突きつけられる。

第一次世界大戦におけるガリポリの戦いについても勉強になった。具体的には、オーストラリアが自国と直接は関係のないトルコに遠征した理由、若者の志願と世論、連合国軍内での立場の優劣、そして、塹壕での陽動作戦の意味など。

これら歴史的な背景と、戦争がもたらす人類としての損失、一人ひとりのアイデンティティの対比が鮮烈。でも何も難しくない。二人の若者のドラマに身を任せるだけで自然に理解できる。難しいことを映像で簡単に伝える手本だと思う。

ロケーションも素晴らしい。オーストラリアの砂漠を二人で歩くシーンは、詳細は描かれていないものの、過酷なはずなのに楽しそうで、この過程で友情や信頼を超える愛が確かなものになったであろうことを、行間から読み取ることができる。広大な景色も説得力になっている。

エジプトでの演習という、最前線に送られる前のシークエンスを挟んだのも見事。ここに至っても、まだどこか観光客気分な彼らの状況や心情がリアルだった。全裸で無邪気に海水浴に興じるシーンも印象的。全てが演じているとは思えないほど自然。ということは反対に、技術的には相当困難なロケ撮影だったのではないだろうか。そんな、作り手の熱量も感じた。

※ April 25th, ANZAC Day
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