ひでやん

犬の生活のひでやんのレビュー・感想・評価

犬の生活(1918年製作の映画)
3.9
寒さと飢えを凌ぎ、惨めな生活を送る放浪者が、助けた野良犬と共に奮闘する物語。

社会の底辺に身を置き、卓越したパントマイムで逆境さえも笑いに変えるチャップリン。その身はマイナスへ向かうが心は常にプラスだ。

幸せだから笑うのではなく、笑えば幸せになれる…なんて事をチャップリンは思わせてくれる。

放浪者と犬が身を寄せながら苦楽を共にし、なんとか食いぶちにありつこうとする姿は「チャップリンの拳闘」を想起させる。

愛犬と絶妙なコンビネーションで見せるドタバタ騒動は愉快。尻尾で太鼓を叩くってのは巧いよなぁ。ワンちゃん名演技。

本作の見所は2つ。

1つ目は長回しで見せる「だるまさんが転んだのつまみ食い」。サッと食ってピタッと止まるのは流石。

2つ目は長回しで見せる二人羽織。器用な手の動きに思わず笑ってしまう。

どん底からスタートして、ロマンスと共に希望へ向かうラストはほっこり。幸福の元は「金」だ。クローズアップで見ればここ掘れワンワンで得た幸運だが、ロングショットで見れば奪い取られた不運になる。

幸と不幸、善と悪は表裏一体で繋がり、チョウかハンかのサイコロみたいにどちらかに転がる。
ひでやん

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