そのじつ

乱のそのじつのネタバレレビュー・内容・結末

(1985年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

5/11 見終わった。原作に忠実な結末。終盤は様式美と戦場スペクタクルの圧巻の画面。楓の方の頭脳があれば、一文字の所領を治められる殿になれたであろうか・・彼女だけが、運命をあやつり本懐を遂げたのだった。太郎・次郎・三郎いずれも戦国を生き抜く運命を勝ち取れず、操られるままになったのだった。
実務の主導権はゆずるが、名目上の最敬礼は欲しい、というのは秀虎ならずとも思うだろう。そして太郎の立場の人々は、それをウザいと感じてしまうだろう。治めるのが国でなく、一軒の個人商店であっても同じことじゃないか。礼と矛盾する心模様は諍いを起こす。古今東西、不変の人の世の有様。

人をむごく殺め領地を広げた秀虎にとっては因果応報。親の因果が子に報い、3人の子供達も楓(敗者)の怨念を触媒に最期をとげた。腑に落ちるラストだ。シェークスピアも黒澤明もすばらしい。
祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり。 沙羅雙樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。 驕れる人も久しからず、唯春の夜の夢の如し。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。(平家物語)


5/10 まだ半分。ちょっと退屈して中断。中学生のころ、劇場公開時に見た。初黒澤作品だった。その時も中頃で飽きていた記憶がある。
当時は「リア王」も知らなかったし、時代劇はどちらかと言うと苦手だった。今は時代劇はけっこう好きだし、ほかの黒澤作品も見たし、「リア王」のあらすじも知っている。だからけっこう楽しみながら見てはいるのだが、一時間半経っても、話がまだ半ばかと思うとちょっとくじけた。
なんというか、人物の顔が見たい!カメラにもっと寄って欲しい!と思ってしまう。セットも衣装も音楽もキャストも豪華なのだが、すべて遠目に見ているようでなんだかもどかしい。

ピーターを見たのはこの映画が初めてで、当時非常に印象深かった。
三の城で眠っていたのがスイと立ち上がって、窓の外を見渡すまでの仲代達矢の一連の動作がカッコいい。身のこなし、足さばきが美しい。原田美枝子が根津甚八に迫るシーンの動きも見もの!油井昌由樹いい声!萬斎を名乗る前の萬斎(19ぐらい)が出ているのを知って見てみたが顔が見えない。
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