よしまる

狼よさらばのよしまるのレビュー・感想・評価

狼よさらば(1974年製作の映画)
3.9
 実は観たことないシリーズ。もう50歳を超えてからのブロンソンの当たり役。

 ビジランテと言えば世代的には「ワイルド7」や「ブラックエンジェルズ」、そして「必殺シリーズ」笑
 実は国や警察と繋がっていたり、パトロンがいてまあまあな組織だったりするのが常套なのだけれど、このブロンソンはまったくの一匹狼。しかも素人。

 一応ネタバレ伏せると、大事な家族を傷つけられた建築家のカージーが、復讐鬼となって大暴れ、、字で書くと大層だな、いや、そういう話でもないかw

 漁師だった親父さんが鹿に間違われて撃たれ死んだことで銃とは距離を置き、兵役も拒否した男が、アリゾナの片田舎で銃に出会ってから歯車が狂い始める。南部に行った時に聞かされるセリフが印象的だ。
 「ここでは夜中に街や公園を歩けるんだ。強盗をすれば逆に撃たれるからね。」

 こんなこと言うから銃社会無くならなーいw
 まあでも、それも一つの真理ではある。

 そんなわけで銃を手にしたカージーだったのだけれど、なんとのび太くんばりの射撃の名手。ズブズブと自警の快感に溺れてゆくことに。

 おそらく人によっては正視に耐えないという方もいるだろう。あるいは心底胸のすく思いでワクワクしただろうか。

 当時と現在ではいろんな面で思想もリテラシーも変わってしまっている。
 その一方で、例えばニューヨークの犯罪率は1970年代から90年代にかけ3倍ほどに増え続けたが、その後減少の一途をたどり現在は70年代の半分にまで下がっている。その原因は直接的に銃とは関係ないように見え、むしろ、銃があってもなくても、その根本となるドラッグ、貧困、差別、権力側の腐敗といった諸問題が改善されれば殺人も減ることが研究されている。

 不謹慎なのは承知の上で、銃社会の是非はさておいて、悪い奴をぶっ殺すダークヒーローを脳天気にお茶の間で笑える余裕はあっても良いんじゃないかと思う。こんな情勢下で何言ってんの?って話だけれど、空想の世界で自分の中の狂気と向き合ってみるのもいいんじゃない?それは100年以上も愛され続ける映画という娯楽の特権だ。
 
 ハービーハンコックのサントラはカッコよく、善良な市民がなぜこんな殺人を?とはほど遠い、ブロンソンの存在感。本人も何で俺が?と思いながら演じたらしいけれど、いや、あなたで良かった。
 そしてこんなところでも遭遇してしまったジェフゴールドプラムはレロレロしててどことなく花京院典明w

 原題ではちゃんとDEATH WISHシリーズとして1から5までNo.が付いているのに、邦題には一度も原題や数字がつかない珍しいケース。原題になくても無理くり「2」とか「新」とか付けたがる邦題が多い中、潔いんだか宣伝がヘタなのか。何か明確な意地があったのかもしれない。
 
 最後に。デンゼルワシントンがチンピラ役で出ていたというトリビアは実はデマだった、というトリビア。