ダイアー教授

川の底からこんにちはのダイアー教授のレビュー・感想・評価

川の底からこんにちは(2009年製作の映画)
4.1
題:満島ひかりは上の上の上の上の…嬢!
製作:2010年、日本
監督・脚本:石井裕也
主演:満島ひかり
ロケ:茨城県茨城町

非常に面白かったし、いい作品だと思った。
こてこてのギャグ、下ネタ、スカトロジー…あるいは“田舎の人たちの描き方”に不快感をおぼえる人もいるかもしれないが、それも込みでこの作品の魅力だと私は思う。

3つにまとめてレビューします。

1.満島ひかりの魅力
主人公、木村佐和子さん役の満島ひかりが非常に魅力的だ。
佐和子は劇中では「自分は大したことない女、中の下(チュウノゲ)である」と宣言するが、満島ひかりは上の上の上の上の嬢!

佐和子は酒好きの家系らしく、やたらと安酒(キリン淡麗?)をあおる。その姿がダメ人間っぽいし、とても可愛い。
ビール(キリン一番搾り)のCMを見ると、満島ひかりが酒のランクで役を使い分けしているのを感じる。

木村家の生業はシジミ販売であり、シジミは肝臓にいいと言われているが、父と娘が酒で身持ちを崩しているのは皮肉だし、
石井裕也監督は映画的な話造りがとても上手だ。

2.役者さん
バツイチ子持ちダメ男役、ビミョーに可愛い子役、工場のおばさんたち、みんな素晴らしい。
岩松了さんが演じた伯父さんの下品だけど、懐が広い感じもいい。
佐和子の仇的、トモミもいい。
服装といい、部屋のデコレーションといい、車のチョイスといい、車のデコといい、こういう感じの娘が田舎にいそうだし、実際にいる!
シジミ漁師を誘惑する変な女子大生も可笑しかった。

3.スカトロジーのメタ的役割
この映画は下品なギャグ満載だが、それが重要な意味を持っている。
東京での佐和子はまさにクソが詰まった“どん詰まり”状態であった。
浣腸エステが彼女の救いであった。

彼女の“詰まり”は実家(茨木)に戻って解消された。
彼女の道は開通したのである。

大したことない人間、クソみたいな人生だけど、
クソの力はすごい!すごいことをやってのける!
ボットン便所の肥料が大きな花を咲かせて、大きなスイカを実らせたように!