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マグノリアの花たち/スティール・マグノリアのakrutmのレビュー・感想・評価

5.0
舞台で何度も上演されている同名の戯曲を映画化した作品。戯曲の作者であるロバート・ハーリングが映画の脚本も担当しており、戯曲からはいろいろと変更されている。そもそも舞台はトルーヴィが営む美容院を舞台とした6人の女性の会話劇であるが、映画では6人以外の、男性も含む人物が登場するし、美容院での会話は一部のみである。なお、登場人物の女性の一人であるシェルビーは、ロバート・ハーリングの妹がモデルである。

原題の Steel Magnolias が示すように、鋼鉄のようにたくましくて、マグノリアの花のように美しくて魅力的な6人の女性(マグノリアは本作の舞台となっているルイジアナの州花でもあることから、ルイジアナに暮らしている女性の象徴でもある)を通じて、田舎町の人たちの結束の強さ・友情・互恵、生死への向き合い方などが、ユーモラスに生き生きと描かれていて、個人的にはかなり気に入った珠玉の映画である。

6人の女性の演技が皆素晴らしいが、中でもシェルビー役のジュリア・ロバーツの演技が特筆ものである。『プリティ・ウーマン』でスター女優になる直前の映画であり、本作の演技で女優として注目されるようになったという意味では彼女の出世作とも言える。映画は彼女の結婚式当日のシーンから始まるが、幸せいっぱいであるとともに1型糖尿病という持病に不安を抱えている若い女性という難しい役柄を見事に演じている。(ちなみに、シェルビーの夫役は『ザ・プラクティス』のディラン・マクダーモット。)ジュリア・ロバーツ以外にも、シェルビーの母親マリー役のサリー・フィールドの貫禄ある演技(特に後半の演技が素晴らしい)や、トルーヴィ役の歌手ドリー・パートンのポップ感あふれる演技も印象的である。さらに、ウィザー役のシャーリー・マクレーンの頑固だけれどもどこか憎めないという感じも見どころ。とにかく、多くの人に一度見てもらいたい映画である。
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