ほーりー

学校の怪談4のほーりーのレビュー・感想・評価

学校の怪談4(1999年製作の映画)
4.4
「学校の怪談」シリーズはちょうどドンピシャの世代で、第一作から三作までは毎年劇場へ観に行った。

第一作はほどよく怖くて、そしてジュブナイル物としても面白かったのだが、二作目、三作目となると何だか作り手が子どもに媚びているようなのが鼻についた。

今にして思えば、大変生意気な小学生だった(笑)

なので「学校の怪談」の四作目が二年のブランクを経て公開された時は正直劇場に行く気も失っていた。

本作を観たのはずっとのちの地上波での放送だったが、ワタシは何でこんな傑作を劇場で観なかったのか非常に後悔をした。

本作はシリーズ中で最も怖く最も感動的な作品であり、そして「学校の怪談4」というタイトルが凄く勿体無いくらい一個の映画として完成されたスリラー映画である。

昭和初期、大きな津波が港町を襲った。

海岸沿いの小学校ではちょうどその頃四人の生徒が校舎内でかくれんぼをしており、津波から逃げ遅れて犠牲になってしまった。

時は流れ、平成の世。

東京に住む小学生の兄妹は夏休みを利用して、実家のある海辺のその町に遊びに来た。

しかし、来た当日に運悪く大型台風に見舞われる。海は大荒れで翌日、台風が去ったあとの海岸には打ち上げられたゴミが散乱していた。

兄妹と地元の子どもらはゴミの片付けをしていたところ古びたランドセルを見つける。

ランドセルの中には不気味な蟹が一杯で、気持ち悪さから海にすぐ捨ててしまった。その一件以降、町の子ども達が次々と消えていくという事件が発生する。

行方不明になった子はいずれもそのランドセルを拾った時に傍にいた子どもばかりだった……。

監督が平山秀幸、脚本が奥寺佐渡子、と今にして思えば大変なビッグネームのタッグなので、そりゃクオリティも凄いハズである。

こけおどしの音楽や残酷描写がなくても十分恐ろしい。酒屋の女の子が襲われるシーンの何と怖いことか。

あと、物語の重要人物として、今年亡くなられた笑福亭松之助師匠が出ていて、枯淡の演技に胸を打たれた。また子役たちの演技も素晴らしかった。

過去作のようなテケテケや花子さんといった妖怪は出てこないので本作に物足りなさを感じる人もいるとは思うが、ただ怖いだけという映画ではなく、観たあとにどこかあたたかさの残る作品だった。

■映画 DATA==========================
監督:平山秀幸
脚本:奥寺佐渡子
音楽:宇崎竜童
撮影:柴崎幸三
公開:1999年7月10日(日)
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