そのじつ

ラフマニノフ ある愛の調べのそのじつのレビュー・感想・評価

3.0
「天才ピアニストであり偉大な作曲家の伝記」というよりは、トラウマや矛盾を抱えながら生きたひとりの人間の人生の断章…といった趣き。
夢に現れる幼少期を過ごした家とその庭が美しい。この情景は、アメリカに亡命した彼がロシアへ抱く望郷の念を示しているのだろう。
両親と縁遠く恩師とも絶縁した彼の人生で唯一の拠り所はライラックが咲くあの家だけだったのだろう。
果てしない孤独を抱えた彼と行動を共にしたナターシャの孤独も計り知れないものがある。

しかし演奏シーンが少ないのが不満。いち観客として酔いたいという期待があったから…。
そのじつ

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