いしはらしんすけ

ロッキーのいしはらしんすけのレビュー・感想・評価

ロッキー(1976年製作の映画)
5.0
クリード新作公開に向けて「ロッキー」シリーズマラソンをスタート。

年齢の割に映画観てる数が圧倒的に少ない私は、新作以外のおすすめ映画を聞かれた場合、「泣ける映画」「落ち込んだ時に元気が出る映画」「とにかく笑える映画」「頭空っぽにして楽しめる映画」「人生の深みをしみじみ感じる映画」「きゅんきゅんする恋愛映画」などなど、いかにも聞かれそうなカテゴリーすべてにロッキーシリーズのどれかを答えることにしている、そんな男(実際に聞かれたことはないが)

なので勿論回数把握してないぐらい繰り返し観てるし、逆に「何もかも最高!」以外に言うことなかったりするが、何も書かないのもナニなんで、今回観たなりのぼんやり感想をつらつらと。

まずとにかく画がハンパなく良いよねー。

ここに関しては70'sフィラデルフィア力に負うところ大なので、この点においては後続シリーズが及ばないアドバンテージが本作には宿ってると思います。

あと振り返り視点で言うなら、なんつっても「エイドリアン、魅惑の変身」、これはこの第1作しかないストロングポイントであるのは自明中の自明!

同じ妹キャラでもあのコニー・コルレオーネとはまったく違ったコミュ障自己肯定感激低地味メガネ女子を体現したタリア・シャイアの名演は、男だらけのロッキーワールドにおける唯一女神としての存在感を堂々示しています。

もはや未見の向きにも膾炙しているであろう超有名シーンが目白押しなのも周知で、何回観てもどれもいちいち良いんだけど、今回の一押しはやっぱエイドアンが本格的に覚醒する「カップルになったロッキー&エイドリアンがポーリーの陰口叩いてたらうっかり聞かれちゃって、ポーリー激オコ&激拗ね〜逆ギレ気味エイドリアンとの怒鳴り合い兄妹喧嘩」のくだり。

笑えるし泣けるしグッとくるし、大のポーリーファンとしてはもうたまりません。

で、そのポーリーを筆頭に実はこの映画、男の弱さや情けなさがリアルかつ愛情を込めて繊細に描かれているなぁと改めて。

なんとなくホモソ/マッチョな価値観が肯定されているイメージを持たれている気がするけど、むしろそういったノリを相対化していて、その点でも全然古びていない...少なくとも本作に関しては 笑

こちらもあまりにも有名なビル・コンティの音楽も後半でファンファーレとして炸裂するテーマメロが、序盤で抑制的なヴァリエーションとして鳴っているという周到さに深く得心。

劇中要所で語られる「俺たちが憧れるアメリカ」が詰まった、心の一本です。