emily

親切なクムジャさんのemilyのレビュー・感想・評価

親切なクムジャさん(2005年製作の映画)
3.5
ウォンモ君誘拐事件の犯人として20歳の時に逮捕された、クムジャさん。刑期中は親切なクムジャさんと呼ばれ、周りの人に親切にし、みんなに恩を売っておき、13年の刑期を終えて出てきたときには、みんなの力をフルに活用し、復讐に生きる。彼女にもまた女の子の子供がいた。若干18歳の時の子供だ。その子供を養子にだし、クムジャにだけ罪をきせた男への復讐の形とは?

パク・チャヌク監督の"復讐三部作"完結編。今回は透明感のある清純な外見のイ・ヨンエが、体力戦ではなく、頭脳戦で臨む、13年にかけて復讐劇。

まずは周りから絶対的信頼と、恩を売りまくる。やさしいほほえみで、周りから天使のような存在に扱われるようになり、絶対的な関係性を築き上げる。天使と悪魔の表情を使い分け、無表情の残虐さ、冷酷さをしっかり演じ切っているイ・ヨンエの演技が光る。

痛みの伝わる演出はもちろん、その残虐さ、迷いのない一点の復讐心と冷酷さがしっかり描写されていて、その表情だけで背筋が凍るような怖さを秘めている。そうしてその潔さは美しく、美を求める女性らしさを感じさせる。

その復讐の仕方もかなり残虐で、まずどれだけの罪を重ねてきたかをたたきつけて、ゆっくりと、その工程を一傍観者の立場で見ている主人公。それを楽しんでるように見えて、復讐劇後もまったく心は救われない。生きるかてもなくなり、はじめて自分の13年間と、その罪と向き合うことになるんだろう。

鮮やかな色合いで、女性らしいタッチで始まり、その残虐さも美しく、まさに女性の冷酷な部分を映し出した復讐劇という感じ。しかし最後までその親切心は忘れていなかったクムジャ。良い意味でも悪い意味でも・・
emily

emily