まりぃくりすてぃ

風と共に去りぬのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)
4.5
眉間がちょっと凹んでるヴィヴィアンの顔、そんなに綺麗だとは私は思わない。スカーレット色の唇だけが形も艶も完璧と思い、口紅ばっかり見てた。
男女の三角・四角関係は、日本のほぼすべての少女漫画の原型がこの物語だったんだわ、と気づかせてくれる華やかさと悩ましさ。
と邪念で鑑賞した序盤。

でも、脚本の熱に徐々に抱き込まれていき、そのうちに私、火傷気味に。すなわち、「彼女たちの世界」のあまりの熱さ・重さ・スケールの大きさと引き比べ、この自分の生活や人生なんて取るに足らないんじゃないかという負け感。
唇がヌーディーっぽかった後半のヴィヴィアンは、(見慣れたせいか)そろそろ私の目にも美人。
でも、物語上のスカーレット・オハラという人物にはたぶん私、最後らへんまで共感しなかった。言動の多くが、遠すぎて。らへん、といったけど、正直いえば、出ていく夫への哀訴には、初めて射抜かれたよ! ───「“あなたを愛してる”ってことのほかは、何もわからないの」!!
それでなくとも、後半はかなり泣かされた。何人も死ぬし。

で、最後の最後、「土地」なの~? 鑑賞者を火傷させておいて、冷や水のようなオチ。土地なんてどうでもよくない?(インディアンから奪ったところを「故郷」って呼ばれてもねぇ……。)

歴史的名台詞とされる「明日は明日の風が吹く」がどこに出てきたのかはわかんなかった。
むしろ、最高に稲光だった台詞は、前半終了まぎわの、神さまへの特殊な祈りのところ。普通の人は、あんなふうに祈れないもん。結構単調だったこの大長篇映画において、たった一カ所、その宣言シーンだけが“転調”にめちゃめちゃ成功してた。偉大!

それにしても、こんな大作をしかもカラーで創り上げてた超先進国に(罠に嵌まったとはいえ低IQ的に)真珠湾攻撃しちゃった日本って何なの?