ぬーたん

雨に唄えばのぬーたんのレビュー・感想・評価

雨に唄えば(1952年製作の映画)
4.3
この映画を観た事なくても、ジーン・ケリーが雨に打たれながら♫雨に唄えば♫を唄っているシーンを知っている人多いのでは?
それほど有名なシーンと歌だ。
1952年公開、66年前です!その時代にこの完成度の高さ。
すごい、としか言えん。
ダンスがとにかく素晴らしい。
主役で監督であるジーン・ケリーはちょっと愛嬌のある二枚目。
MGM最盛期にフレッド・アステアと共に活躍した。
「フレッド・アステアがダンス界のケーリー・グラントだとしたら、私はマーロン・ブランドだ。」と言ったという。
雨に唄えばのダンスシーンはやっぱり素敵。
その他のダンスシーンも良いし、がっちりした体の割に動きは超軽快だし、表情が明るいところがとても良い。
相手役はデビー・レイノルズ。当時はまだ20歳にもなっていないし、ダンスも初心者の彼女が、素晴らしいダンスを披露。
ジーン・ケリーにはかなり怒られながら撮影したらしい。
一方、大女優役のジーン・ヘイゲンは実は歌が上手く、吹替えシーンが本人の歌声だったというから面白い。
そして忘れられない素晴らしいダンスは、コズモ役のドナルド・オコナーだ。
最初に観た時に、ダニー・ケイ??と思った位、顔も雰囲気も似ている。
もちろん良く観れば、あの特徴的なダニーの顔とは違うことに気が付くけど、本当に似ている。
皮肉なことに、54年のダニーの主演作『ホワイト・クリスマス』の主役に決まっていたが、病気で辞退したらしい。
親がサーカス団に居たという環境で、幼い頃から体を動かすのが得意だったようだ。
このドナルドのダンスがキレがあるし、軽快で、楽しく、コミカル、表情もコロコロと変わり、とにかく最高!
何度も観たくなるダンスNo.1❗️
壁にぶつかるダンスでは撮影後に3日間入院したという。
その後の撮り直しではアザだらけになったとか。
3人の部屋でのダンスが可愛く揃っていて良かった。
ジーンとの2人のタップダンスがまた素晴らしい。
主役のジーンよりもずっと身軽で上手くてドナルドの方を見てしまう。
脇役の方が目立ってるという感じのダンスシーンだ。
とはいえ、2人の恋愛の話や大女優をギャフンと言わせるストーリー性も良く出来ているし、さすがジーン・ケリーは主役と監督と才能が豊かだ。

サイレントからトーキーへ移る過渡期の映画界を描く作品は多いが、皮肉たっぷりながらも、これほど楽しい作品は他にはないだろう。
デビー・レイノルズは一昨年暮れに84歳で亡くなった。
前日に娘のキャリーを亡くしたばかり。
このキャリーは『スター・ウォーズ』シリーズでレイアを演じた女優だった。母が亡くなった翌日に祖母を亡くした気持ちはどんなだったろうか?その娘もまた女優である。
さて、今作はミュージカルであって、ストーリーは二の次だ。
その点で、ミュージカル好きは良いが、そうでない今の若者が観ても感動するかは疑問だ。
でも、66年後の『ラ・ラ・ランド』を好きな方は、面白く観れると思うなぁ。
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