Ricola

周遊する蒸気船のRicolaのレビュー・感想・評価

周遊する蒸気船(1935年製作の映画)
4.1
アメリカの初期のアニメーションのような、かわいらしさと楽しい工夫が満載の冒険コメディ。

途中まではわりと典型的な、恋愛と友情、冒険がそれぞれ進んでいくのだが、良い意味で急におかしさが増していく。
ちゃんと最初の方に提示されていた面白いモチーフの謎も解明される。


アニメっぽいというのは、登場人物たちの表情の豊かさや特異なキャラクターの存在(新モーセなど)、そしてちょっとファンタジーな怪しい魔法の薬(?)などの存在である。

そして、何の躊躇なくロープを使って人を捕まえてしまうところとか、その行動自体がアニメ的だが、それ以上に現実ではありえないことが許される空気感こそがアニメーション映画っぽくてかわいい。

正直ストーリーに関してはありがちで、おおよそ予想はつきやすいかもしれないが、そこの意外性よりも楽しいワクワクするダイナミックな演出が最高なのである。

しかし彼らの行動にハラハラドキドキさせられ、突拍子もないアイデアに驚かされ、とにかく楽しい。

アニメのように多少大げさな人物たちの表情や行動も、この作品では全く浮かず、むしろ全体の雰囲気にぴったりである。

テンポが良く、程よいドタバタ感もあり、アクション、コメディ、恋愛、ドラマ…とこんな短い時間に様々な要素が詰め込まれながらも、これだけの作品として成立しているから素晴らしい。
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