Ricola

旅するジーンズと16歳の夏のRicolaのレビュー・感想・評価

旅するジーンズと16歳の夏(2005年製作の映画)
3.6
高校生の親友4人は、背も体型も異なるのになぜか皆にぴったりという不思議なジーンズに出会う。そのジーンズは、夏休みの間彼女たちの間を行き来し、彼女たちの経験や思い出がそこに刻まれていく。


幼馴染でずっと一緒に過ごしてきた仲良し4人組だけど、夏休みで初めて離ればなれに過ごすことになる。その先々で彼女たちはそれぞれ成長していく。
メキシコにサッカー合宿のために行ったイケイケだけど実は繊細なブリジット、祖父母のいるギリシャで新たな出会いにときめき変わっていく内気なリーナ、父と再婚相手とその子どもたちとうまくいかないカーメン、唯一地元に残ったデイジーはベイリーという12歳の少女との出会いで大切なものに気づくなど…普段とは違う発見を通して自分自身の内面を見つめる時間ができる。

長い夏休みを離ればなれに過ごす彼女たちを繋ぐのは不思議なジーンズ。1週間ごとにその期間起こったことを書いた手紙を添えて次の人に送るというルールの元、4人は思いを共有する。そしてそれぞれ目の前のことや自分自身と向き合う。
リーナが彼に3人の親友の話をするときに彼女の目が輝くのは、みんなのことが大好きで尊敬しているから。

負の感情を吐き出すこと、自分の殻を破ること、素直になること、自分自身と向き合うこと…。いつもなら親友が助けてくれたり、自分の奥底にしまい込んだ問題に向き合わなくても生活をおくれるけれど、今「ひとり」でそれらと闘わなければならない。それでも彼女たちは心で繋がっていて、孤独ではない。だからこそ、ひとりで向き合ってもあとひと押しを親友たちに助けてもらえる。

「信頼する相手の方が怒りやすいのかも」「そこには愛があるから」
「幸せは大きく成功したときよりちょっとしたことで感じるもの」
思春期、心の中でさまざまな感情が渦巻いていき、その波に呑み込まれそうになるけれど、そこでくじけることなく立ち向かっていく。彼女たちの爽やかな青春劇にぐっときた。
Ricola

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