タカシサトウ

うなぎのタカシサトウのレビュー・感想・評価

うなぎ(1997年製作の映画)
3.8
[人生の再生の可能性]

 柄本明の高崎保のからみが何となく余計に思えたり、役所広司の山下拓郎が夢でのうなされも手紙のエピソードも何か稚拙だったりと、ゴタゴタはしている印象だが、なかなか良かった。

 山下が“物言わぬうなぎ”に話し掛けて交流していたから、自分が崩壊せずにいられたのが最も筋が通っていたと思う。

 役所広司と清水美沙の服部桂子の間も一筋縄で行かないし、桂子の過去も現在もいろいろあり過ぎるし、市原悦子の母のエピソードも食傷気味ではあった。しかし、基本的には、人生でいろいろあっても、再生の可能性がある、傷つきは回復できると、とうたうのに希望を感じられた。

 今村昌平らしい、おおらかさとセックスの良さと人生への賛歌だろう。(2018.11.10)